請願

 

第201回国会 請願の要旨

新件番号 1892 件名 家族農業を守り、食料自給率の向上を求めることに関する請願
要旨  我が国の食料自給率は長期的に減少傾向で推移しており、先進国中最低水準となっている。先に発表された二〇一八年の食料自給率は史上最低の三七%と先進国中最下位にあり、穀物自給率に至っては百七十三か国中百二十四番目である。しかし、日本政府は、TPP、FTA、EPAなどの貿易協定を各国と締結するに当たり、国内農業を犠牲にしている。このままでは、ますます自給率が低下するなど国内農業は衰退し、国民の健康を支える安心・安全な食料供給が脅かされてしまう。国連は、二〇一九年からの十年間を国連「家族農業の十年」とした。飢餓と貧困の克服、持続可能な社会のために家族農業の役割を再評価し、各国に政策転換を求めている。しかし、政府は農業の産業化を標榜(ひょうぼう)し、家族農業を締め出す農業・農協改革を推し進めている。現に農林水産省が行っている二〇一九年の農業構造動態調査によれば、農業経営体数は百十八万余りと減少傾向が続いており、特に家族経営体が百十五万程度と五年間で一四%も減少したことが大きく影響している。このままでは、農村地域を維持することすらままならない。今こそ、家族農業を基調とする農業政策へ転換し、食料自給率の向上を目指すときである。農産物の販売金額規模別における経営体数は、五百万円未満が八割を占めている。これらは家族経営体であり、低い収入が離農を加速させ、地域を疲弊させる一因ともなっている。これでは稲作経営が成り立たず、水田の持つ多面的機能の喪失にもつながるなど地域を一層疲弊させてしまう。欧米では当たり前の家族的経営体の経営を下支えする政策として、最低価格の保障や農業者の収入の保障を行い、国民の食糧と地域経済、環境と国土を守ることを求める。加えて、国内農業を衰退させ、自給率を低下させるような貿易協定を締結せず、現行の協定を見直すことが必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、家族農業を基調とする農業政策へ転換し、食料自給率の向上を目指すこと。
二、農業者戸別所得補償制度の復活など家族農業を支える政策を実現すること。

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