請願

 

第201回国会 請願の要旨

新件番号 1361 件名 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願
要旨  てんかんは、あらゆる年齢で発病する脳の病気であり、百人に一人、全国に百万人の患者がいる。早期診断・治療により七〇%以上の人が発作のない生活を送ることができる。しかし、てんかんの専門診療が全国どこでも受けられるわけではない。てんかんの発作は、一瞬手足がピクンとしたり、短時間意識がなくなったり、全身けいれんまで様々な症状がある。また、発作だけでなく知的障害、精神障害や身体障害など合併障害の人も多くいる。障害者差別解消法が施行されたにもかかわらず、学校行事への参加制限、職場での配置転換や解雇、交通運賃割引制度の対象外など不利益事例が数多く報告されており、てんかんに対する正しい理解と多様な支援が求められている。
 ついては、てんかんのある人とその家族が安心して暮らせる社会の実現のため、次の措置を採られたい。

一、啓発に関しては、国民の理解を深めるための政策を進めること。
 1 二月第二月曜日の「世界てんかんの日」と十月の「てんかんを正しく理解する月間(てんかん月間)」の周知活動に、国も協力をすること。
 2 日頃からてんかんのある人と接する機会の多い職種に対して、てんかんの正しい知識と介助・観察法を習得する機会を設けること。
 3 既往症や緊急対処法を明記する携行品を、全国統一様式として導入できるよう推進すること。
二、医療に関しては、
 1 てんかんの地域診療体制等を充実すること。
  (一)てんかん地域診療連携体制整備事業を拡充し、全国に医療連携と相談支援の体制を整備すること。
  (二)地域医療計画の再確認とともに、専門医の養成と一般医への情報提供を図り、てんかん診療の地域格差を改善すること。
  (三)重度者に対応できる診察時間の確保、救急救命体制の整備、診断書作成費の公費負担など、制度の充実を図ること。
  (四)災害時に被災地で抗てんかん薬が不足しないようにすること。
 2 難治てんかんの克服に向けた研究を充実すること。
  (一)国の臨床研究事業において、難治てんかんの研究テーマを充実すること。
  (二)新薬の開発を推進すること。
三、福祉に関しては、地域で安心して暮らせる支援体制を整備すること。
 1 てんかんの障害特性に配慮して、障害者支援サービスが地域格差なく全国どこでも利用できるようにすること。
 2 市町村が実施する施策についても、必ず病気や障害のある住民(当事者)の意見を反映するなど、当事者参画によるサービスの促進を図ること。
 3 全国の自治体に、てんかんに関する総合的な相談窓口を配置するよう促進すること。
 4 自治体が行う通院や同伴者に対する交通費助成制度やタクシーチケットの配布などを、好事例として積極的に全国に周知すること。
四、労働に関しては、働く場の機会拡充を図ること。
 1 てんかんがあることを理由にした採用時や採用後の職場での差別禁止、自動車運転が困難な人への合理的配慮など、事業所への積極的な指導を行うこと。
 2 継続雇用が困難な人に、優先的に仕事のあっせんを行う体制を設けること。
 3 障害者雇用制度を適切に全国で推進されるよう指導をすること。
五、発作時に主治医から指示のある坐薬(ざやく)の挿入や頓用薬の服用が、保育所、学童保育の現場において制限されないように全国へ指導をすること。

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