請願

 

第201回国会 請願の要旨

新件番号 1156 件名 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者への支援と肝炎ウイルス検査及び治療薬の研究開発の促進に関する請願
要旨  平成二十一年に成立した肝炎対策基本法の前文に「B型肝炎及びC型肝炎に係るウイルスへの感染については、国の責めに帰すべき事由によりもたらされ、又はその原因が解明されていなかったことによりもたらされたものがある。」と記載されているように、多くの感染者は、過去の血液行政や医療行政の不具合により感染し発症している。また、附則抄には「肝硬変及び肝がんの患者に対する支援の在り方については、これらの患者に対する医療に関する状況を勘案し、今後必要に応じ、検討が加えられるものとする。」と記載され、ウイルス性の肝がん・肝硬変の支援について言及している。厚生労働省が平成二十九年三月に発表した「B型・C型肝炎による肝硬変・肝がん患者における医療費等の実態調査」では、平成二十七年時点で病院に通っているウイルス性肝臓病の患者数は六十五万人、そのうち重い肝硬変患者数は四・三万人、肝がん患者数は十・二万人で、約十五万人が重症で苦しんでいる。ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者への医療費助成が平成三十年十二月から研究事業の一環として開始された。十五万人の一割弱の一・二万人程度(七千二百二十八人/月の入院数)が見込まれていたが、実績は月五十人程度と大きく乖離(かいり)しており、研究事業として、また医療費の助成としても事業の目的が十分に果たせていない。事業対象者の条件が実態に即したものになっていない結果であり、通院治療の拡大など治療法の変化に対応すべきである。対象者は、肝がん患者と重度肝硬変患者で時間的余裕がない重症患者である。第一歩としてのこの事業が有効に実施されるよう、再度の実態調査をした結果を踏まえて速やかに検討し適切に対処することを求める。B型肝炎、C型肝炎には効果が高くかつ副作用のない治療薬が開発されているが、いまだに肝炎ウイルス感染を知らない潜在キャリアは七十八万人、感染を知りながら継続的に受診をしていないキャリアは五十三万人~百二十万人いると言われている。肝炎ウイルス検診や陽性者フォローについては自治体や職域により大きな差があるため、自治体の均てん化を図り、職域の実態を把握し、検診を促進する必要がある。また、全国の病院・医院の他診療科での肝炎ウイルス陽性判明者を受診につなげるためには、肝炎医療コーディネーターの活用が不可欠である。平成二十四年にB型肝炎ウイルス排除を目的とした治療薬の研究開発事業が開始された。基礎的研究が着実に進んでいるが、患者が利用できるまでには更に年数が見込まれる。全てのB型肝炎患者は、この治療薬の研究開発事業がより速いテンポで進展することを心から願っている。治療薬の研究開発を一層促進することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、ウイルス性の肝がん・重度肝硬変治療研究事業の対象者を実態調査の結果を踏まえて、速やかに検討し適切に対処すること。
二、肝炎ウイルス検診や陽性者フォローにおいては、都道府県・自治体の均てん化を図り、職域での実態を把握し、全国の病院・医院の他診療科での肝炎ウイルス陽性判明者を受診につなげること。その際、肝炎医療コーディネーターの活用を促進すること。
三、B型肝炎ウイルスを排除する治療薬の研究開発を一層促進すること。

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