請願

 

第201回国会 請願の要旨

新件番号 983 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  日本の私立大学・短期大学(以下「私立大学」という。)には、大学生全体の約七五%(二〇一八年度・約二百二十五万人)が学んでいる。卒業生は社会の様々な分野で活躍し、私立大学は地域と日本社会の発展を推進し支える上で非常に大きな役割を果たしている。しかし、私立大学の学生・父母等は、非常に重い教育費負担を強いられている。また、高校入学から私立大学卒業までに掛かる入学在学費用は、一人当たり一千万円近くに上っている。そのため、学生はアルバイト漬けになり、修学や卒業後の進路決定にも深刻な影を落としている。頼みの綱の奨学金はほとんどが貸与=ローンで、卒業後、借り入れた奨学金が返済できず奨学金破産する深刻な事態も生じている。二〇一七年度になってようやく給付型奨学金制度が始まったが、その対象者も給付額もごく僅かで、極めて不十分な制度にとどまっている。二〇二〇年度からは新たな修学支援が実施される予定であるが、支援対象が年収三百八十万円未満世帯に限定されるほか、厳しい要件が設けられている。政府が二〇一二年に国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項の受入れを決定したことを踏まえれば、正真正銘の高等教育の無償化を進めていくべきである。私立大学と国立大学との間には、国の財政支援に大きな格差がある。私立大学への補助(私大助成)は学生一人当たり年間約十四万円であるが、国立大学への交付額は学生一人当たり約百八十万円と十三倍近い開きがある。私立大学と国立大学は同等の高等教育機関であり、このような格差を放置すべきではない。一九七五年に私学振興助成法が制定された際、参議院は附帯決議で経常的経費の二分の一補助を速やかに実現することを求めた。その後、補助率は二九・五%(一九八〇年度)まで達したものの、現在では九・九%(二〇一五年度)にまで低下している。そのため、私立大学は学費収入に大きく依存せざるを得ない財政状況となっている。これが私立大学の学費を押し上げている大きな要因である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、私立大学生の学費負担を軽減するため、以下の施策を速やかに実施すること。
 1 高校で実施されている「就学支援金制度」を大学生にも拡大すること。
 2 学生の学ぶ権利を保障する観点から、大学の学費無償化に向けた計画を立案すること。
二、現行の奨学金制度について、以下の施策を速やかに実施すること。
 1 給付型奨学金の給付額と対象人数を増やすこと。
 2 無利子奨学金の貸与基準を見直し、希望者全員が受給できるようにすること。
 3 所得連動返還型奨学金制度を改善・拡充すること。
三、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するよう私大助成を増額すること。

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