請願

 

第200回国会 請願の要旨

新件番号 768 件名 中小零細企業の社会保険料負担の軽減、国庫負担増を求めることに関する請願
要旨  社会保障とは、本来、暮らし(生業と生活)の支援を主としつつも、労働についても深く関わり、二つの再生産を支える条件になる諸制度である。しかし、現行の社会保障は、幾重もの改悪によって国が保障すべき憲法第十三条(幸福追求権)、第二十五条(生存権)の責任を放棄し、自助・共助に変質させようとしている。二〇一七年版中小企業白書では、中小・零細企業の業況の厳しさを指摘し、中小と大企業の賃金格差も解消されておらず、中小企業の設備投資の低迷が続き老朽化は深刻な状況としている。企業規模が小さいほど、営業も人員確保も厳しくなっている。社会保険料負担に企業規模の違いはない。企業の二〇一六年度の内部留保は、総額で六百四兆円であり、前年度から三十一兆円も増加している。そのうち、資本金十億円以上の大企業(金融保険除く全企業)は五千社(全企業比率〇・一八%)であるが、この一握りの大企業が総額の過半である三百十三兆円もの内部留保を保有している(二〇一八年国民春闘白書)。財政運営の基本は、国民の必要を満たすためにどれだけの財源が必要かを計った上で、その政策方向に国民の同意を得て、必要な財源をどのように負担してもらうかを決定する点にある。この負担は、まず、公平に配分されなければならない(憲法第十四条)。大半の地域では、八割以上の従業者が中小・小規模企業に勤めている。利益を蓄積し続ける大企業と収益の低い中小・小規模企業を同一の保険料率として引き上げ続けることは、地域の経済や雇用へ更に深刻な状況を引き起こす。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、社会保険料(年金、健康保険)負担を企業規模にかかわらず一律としている現行制度を見直し、中小零細企業の負担を軽減すること。
 1 売上総利益に占める社会保険料負担の割合は、大企業九・九%、中堅企業一四・四%、中小企業一四・〇%となっている(中小企業庁「中小企業・小規模事業者の現状と課題」平成二十八年十月)。
 2 社会保険料の事業主負担の軽減が、賃金への転嫁や正規雇用の増大につながる。
 3 小規模企業振興基本法制定の際、参議院では「中小零細事業者の社会保険負担軽減に効果的な支援策を講ずる」との附帯決議がなされている(二〇一四年六月十九日)。
二、全国健康保険協会(協会けんぽ)に対する国庫補助率を一六・四%(現行)から二〇%(本則)に引き上げること。
 1 国庫負担の削減は、中小・小規模企業の経営圧迫や労働者の保険負担増にも直結する。

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