請願

 

第200回国会 請願の要旨

新件番号 123 件名 公立学校に一年単位の変形労働時間制を導入しないことに関する請願
要旨  政府は、学校における働き方改革として公立学校に一年単位の変形労働時間制を導入しようとしている。一年単位の変形労働時間制とは、一年間を繁忙期と閑散期に分け、繁忙期の勤務時間を延長し、閑散期の勤務時間を短縮することによって年間で平均した週当たりの労働時間が四十時間を超えないようにする制度である。しかし、一日平均十一時間十七分の勤務を行っている学校の現状(厚生労働省「平成三十年版過労死等防止対策白書」より)を考えれば、時間外勤務の実態を覆い隠すだけで長時間過密労働の解消にはつながらない。取り分け、授業のある期間が繁忙期とされ、所定の勤務時間が一時間~二時間延長されることは重大である。八時間労働の原則が壊され、長時間の勤務が強制されることは、教職員の命と健康に関わる問題である。同時に、ゆとりを持って子供と向き合い、時間を掛けて授業の準備を行うことが一層困難となり、行き届いた教育を進めることが難しくなってしまう。さらに、終業時刻が遅くなることで授業準備などの業務が遅い時間帯に回され、退勤が今よりも遅くなってしまうことが懸念されている。育児や介護等、様々な事情を抱えながら勤務する教職員から、このような制度が導入されたら働き続けることができないかもしれないという声が上がっているが、教職員の誰もが同様の不安を抱えている。労働基準法は、一年単位の変形労働時間制導入の条件の一つに労使協定の締結を規定している。ところが、政府は、これほど問題のある制度を労使の協定ではなく、地方自治体の条例等によって実施させようとしている。これは、労働者保護の観点からあってはならないことである。教職員の長時間過密労働を解消するためには、少人数学級の実現や教職員定数の抜本的改善によって人を増やし、一人当たりの業務量を縮減することが不可欠である。
 ついては、教職員の命と健康を守り、行き届いた教育を進める立場から、次の事項について実現を図られたい。

一、公立学校に「一年単位の変形労働時間制」を導入しないこと。

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