請願

 

第200回国会 請願の要旨

新件番号 121 件名 筋痛性脳脊髄炎の根治薬と難病指定の研究促進に関する請願
要旨  筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD―10)において神経系疾患(G93・3)と分類されている神経難病である。平成二十六年度には厚生労働省により実態調査が行われ、日本のME/CFS患者の約三割は寝たきりに近い重症患者であるという深刻な実態が明らかになったが、ME/CFSは指定難病の対象にも障害者総合支援法の対象にもなっていない。米国では国立衛生研究所(NIH)の神経系疾患セクションが主導して、免疫機能障害を標的にした治療薬の効果を確かめて国の承認を得ることを目指した研究が行われており、その論拠として、ME/CFSにも罹患(りかん)している患者の悪性リンパ腫の治療のためにリツキシマブを使用した結果、ME/CFSの症状にも効果があることが認められたことを示す医学誌「プロスワン」のノルウェーの二つの論文を挙げている。また、二〇一六年にはアルゼンチンにおいて免疫を調整する薬であるアンプリジェンが承認されており、根治薬開発の研究に世界中の研究者の注目が集まっている。日本では二〇一八年に、日本医療研究開発機構(AMED)に国立精神・神経医療研究センター神経研究所の山村隆氏を班長とした「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に対する診療・研究ネットワークの構築」と題する研究班が誕生し、神経系疾患として本格的な研究が開始されている。今までの研究で様々な免疫細胞の数の測定や機能の評価、次世代シークエンサーを使ったレパトア解析などで免疫細胞に明確な異常が出ており、また、通常のMRI画像で検出できない微細な異常の検出が可能な最新のMRI拡散イメージング法を用いてME/CFS患者の脳内構造に異常を見つけたとの論文も発表されるなど、ME/CFSの客観的診断基準を開発する研究は順調に進んでいる。本疾患は医療関係者の間でさえ認知度が極めて低く、診療に当たる医師が非常に少ないため、診断すら受けられない患者が日本中にあふれており、一日も早く指定難病になることを患者は強く願っている。さらに、この疾患は十代~三十代で発症する患者が多く、重症度も高く、就労困難なため、日本経済に与える損失は計り知れない。製薬会社も関心を示しているので根本的な治療薬の治験を促進し、患者が少しでも社会参加できるようにすることを求める。指定難病になることで本疾患の正しい認知が広がり、根治薬の治験開始により実際に患者の生活の質の向上に結び付く研究が遂行されることを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、ME/CFSを指定難病にするための研究を促進すること。
 1 ME/CFSの客観的診断基準の開発の研究を促進し、一日も早くME/CFSを指定難病にするための条件を整えること。
二、ME/CFSの根治薬の治験を促進すること。
 1 ME/CFS患者が根治薬を手にすることができるよう、治験の研究を促進すること。

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