請願

 

第200回国会 請願の要旨

新件番号 14 件名 所得税法第五十六条の廃止を求めることに関する請願
要旨  中小業者の営業は、家族全体の労働によって支えられている。しかし、日本の税制は、所得税法第五十六条「事業主の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払は必要経費に算入しない」(条文趣旨)により、家族従業者の働き分(自家労賃)を必要経費として認めていない。家族従業者の働き分は事業主の所得となり、配偶者八十六万円、配偶者以外の家族五十万円が控除されるのみで、これは最低賃金にも達しない額である。このことにより、家族従業者は、社会保障や行政手続などの面で不利益を受けている。政府は「青色申告にすれば給料を経費にできる」(所得税法第五十七条)と言うが、働いている実態が同じでも、申告方法の選択によって納税者を差別することは許されない。さらに、青色申告の専従者給与は税務署長への届出と記帳義務などの条件付きであり、取り消される場合もある。既に白色申告者にも記帳は義務化されており、商売に応じた記帳が行われている。白色申告の場合に家族の働き分を認めないことは、もはや道理がない。家族従業者の人権を認めない所得税法第五十六条の廃止を求める意見書は、全国五百を超える自治体で採択されている。第四次男女共同参画基本計画は、「女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度の在り方を検討する」と明記している。世界の主要国では家族従業者の働き分を必要経費と認めている。国連女性差別撤廃委員会は、二〇一六年三月、所得税法第五十六条が家族従業女性の経済的自立を妨げていることを懸念し、所得税法の見直しを日本政府に勧告した。日本弁護士連合会(日弁連)も、二〇一七年十一月、政府への意見書に「家族従業者本人の労働の対価と明確に位置付けられるよう」と所得税法第五十六条、第五十七条の見直しを正式に盛り込んでいる。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、所得税法第五十六条を廃止すること。

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