請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 3041 件名 動物の健康と命の尊厳を守り、動物福祉の改革を求めることに関する請願
要旨  平成二十四年九月に動物愛護管理法が改正されてから六年が経過した。この法改正によって飼い主の飼育責任はより強く問われるようになり、むやみな生体販売に対する一定の制限を掛けることには成功したと言える。しかし、その一方で、多頭飼育崩壊など劣悪飼育環境の報告は後を絶たず、動物虐待件数は全国で急増している。動物愛護法違反容疑での摘発件数は昨年全国で過去最多となり、規制強化や厳罰を求める声が全国で広がっている。福岡大学人文学部の大上渉准教授(犯罪心理学)は「動物虐待をする人は共感性や罪悪感が欠如していると言える。米国では連続殺人など暴力的犯罪者の多くが過去に動物虐待をしていたという研究結果もある」と指摘している。動物愛護の推進は、命を大切にするという道徳的な問題だけではなく、虐待や暴力犯罪の最初の芽を摘む手段としても社会的意味がある。動物愛護管理法の基本原則に「動物は命あるもの」とされており、刑法で取り扱われるような器物ではない。命あるものは心身の喜びや苦痛を感じる存在であり、互いに守り合う存在であるべきである。我が国でも、動物福祉の国際原則である「恐怖や抑圧からの自由」「自然に行動できる自由」を実現し、国の福祉制度下で強く守られるべきである。次回の動物愛護管理法改正においては、人が飼育する動物(いわゆる愛玩動物)に対して現行法がより実効性を持ち、結果を導き出すことができるものとなるような具体的な見直しを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、愛玩動物の殺処分を将来的にゼロにすることを明記すること。
二、愛玩動物の繁殖業者・販売業者を登録制から免許制にすること。
三、日本国内の犬食輸入・販売を禁止すること。
四、愛玩動物へのマイクロチップの装着を義務付けること。
五、愛玩動物の殺傷、虐待、遺棄などに対し罰則を強化すること。
六、アニマルポリスを設置し、捜査権限を付与すること。
七、愛玩動物の飼養方法や飼養施設に数値基準を設けること。
八、セラピー犬を補助犬として認めること。
九、子供たちが命の理解と尊重を学ぶ「命の教室」を実施すること。
十、愛玩動物を刑法上「器物」ではなく「命」として保護すること。

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