請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 2819 件名 権利としての無償教育を実現し、奨学金の拡充を求めることに関する請願
要旨  「奨学金破産五年で一・五万人」(二〇一八年二月・朝日新聞)との報道に衝撃が走った。二〇一二年度からの五年間で奨学金返還に関わり自己破産した件数は、本人が八千百八人、連帯保証人と保証人が七千二百三十人、合計一万五千三百三十八人と、破産は親族にも連鎖している。二〇一八年は四月より大学等の給付奨学金が本格始動し、給付奨学金元年とも言える年であったが、現状は学費が高騰し、国立大学の一部も授業料引上げに動くなど、教育無償化に逆行している。政府は新しい経済政策パッケージにおいて高等教育無償化を柱の一つに掲げているが、その中身は給付の対象を非課税世帯に限定し、対象の学生や教育機関に様々な条件を付け、新たな選別と統制の手段にしている。恒久的財源として低所得者に負担が大きい消費税を充てるという政策的矛盾もあり、憲法第二十六条や教育基本法第四条が求めている国民の学ぶ権利を保障していない。権利としての無償教育を実現するには、大企業、富裕層への累進課税強化により教育予算を世界水準に引き上げることが必要である。昨年九月に発表されたOECD(経済協力開発機構)調査では、日本は対GDP(国内総生産)比で教育に対する公財政支出が二・九%(二〇一五年・加盟三十四か国平均四・二%)と二年連続最下位で、奨学金利用者の長期の負債など、家計負担が加盟国の中で最も重いと指摘された。日本政府が二〇一二年九月に留保を撤回した国際人権規約A規約第十三条(公教育拡充の国際基準)の実施について、国連の社会権規約委員会は二〇一八年五月末の期限を切り、権利としての無償教育を実現する迅速な措置を求めている。しかし、政府は回答期限を無視し、その実現に向けた努力も示していない。
 ついては、誰もが安心して学べる国にするため、次の事項について実現を図られたい。

一、幼児教育から高等教育までの無償教育を早期に実現すること。
二、大学等給付奨学金を飛躍的に拡大し、成績基準を外すこと。
三、大学等奨学金の返還困難者に対する救済制度を抜本的に拡充すること。

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