請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 2659 件名 仮想通貨税制変更に関する請願
要旨  国税当局は、消費税上並びに資金決済法上「暗号資産は支払手段」と定義されているから、譲渡所得に起因する譲渡所得には該当せず、雑所得であるという解釈を示しているが、現実問題として暗号資産は支払手段にほとんど使われていない。雑所得は他の九分類に入らない所得であるという法律の立て付けになっている以上、譲渡所得ではないという立証責任は国税当局にあるのに、明確な立証はなされていない。財政法の権威である金子宏東京大学名誉教授の最新版教科書にも「暗号資産は譲渡所得」と記されているが、それに対する反論を国税当局から聞いたことはない。譲渡所得ではないと反論できない以上、譲渡所得との分類が適切であり、法律で暗号資産の譲渡益は譲渡所得と明記するのが望ましい。さらには、インターネットの次の革命と言われるブロックチェーン技術の発展のためにも、ブロックチェーンと表裏の関係にある暗号資産の未来を税制が殺してはいけない。一九八五年から一九九〇年のバブルが資産価格の高騰によって起きたことを踏まえると、バブルにならない限り、資産価格の上昇は日本経済の発展に望ましいはずである。暗号資産も資産であることは国税当局も認めており、そうであるならば、国益のために二〇%の分離課税が国策としても望ましい。譲渡所得、一時所得、雑所得、どれでも学術的に認められるのであるならば、どの税制が一番国益に沿うのかは政治的に判断すべきである。仮想通貨の取引損を翌年以降に繰り越すことは認められていない。仮に、今年大きな損失を出したが翌年はそれなりの利益を出した場合、通算の損益はマイナスであったとしても多額の税金を納めなければならない。同じ性質を持つ株式や投資信託・FXの取引損は繰り越すことができるため、翌年以降の利益から差し引くことができる。税の公平性の観点からも、仮想通貨の取引損の繰越控除を認めるべきであり、仮想通貨からの所得を譲渡所得と法で定めれば解決することができる。仮想通貨間の売買も、現在の税制では課税対象になっている。例えば、ビットコインでリップルを買った場合、その時点でビットコインの売買損益を確定させ、利益が出ていたら納税をしなければならない。一回の取引ごとにその都度損益を計算する作業は、極めて煩雑で大きな負担となってしまう。仮想通貨間の取引量を増加させ、仮想通貨市場を活性化させるために、仮想通貨間の売買を非課税とすべきである。若しくは、暗号資産からの利益は総合所得と考えれば、他通貨との交換時の益は繰越しができるようになる。今後、取引の増加が見込まれる実社会における仮想通貨の決済も、現在の税制では課税対象とされている。例えば、飲食店で食事をし、三千円分の会計をビットコインで支払った場合、その時点でのビットコイン価格とビットコインの購入価格から損益を確定させ、利益が出ていたら納税をしなければならない。このようなことをその都度行っていたら、実社会での仮想通貨決済の浸透は到底望めない。少額の仮想通貨決済は非課税とし、実社会での仮想通貨決済を拡大させていくべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、仮想通貨を広く社会に浸透させ、ブロックチェーン技術の発展を促すためにも、仮想通貨税制を適切なものに変えること。
 1 仮想通貨の売買益を最高税率五五%の総合課税から二〇%の分離課税へ変更すること。
 2 仮想通貨売買損の繰越控除を可能にすること。
 3 仮想通貨間の売買を非課税にすること。
 4 店頭などでの仮想通貨の少額決済を非課税にすること。

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