請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 2441 件名 安心・安全で快適な公営住宅制度の拡充に関する請願
要旨  (一)災害列島日本と言われるように、近年、全国各地で地震や台風及び異常気象による大雨等で多くの家屋の倒壊と損壊及び流失等が起こり、住まいを喪失したため、厳しい仮設住宅での生活を余儀なくされている。一方、若者は非正規労働という労働環境の中、低賃金と十分な身分保障もない不安定な生活で自立できずに、未来への展望が開けない状況である。今、正に、災害で家を喪失した人や若者の自立と未来を切り開くために、住まいの保障が何より求められている。それに対応できるのが公営住宅である。公営住宅を大量供給してハウジングプアを解消することが喫緊の課題である。(二)国土交通省による二〇〇五年の通達「公営住宅管理の適正な執行について」は、公営住宅入居者の入居承継を原則配偶者に限定するものであった。この通達を受けて、東京都を始め各事業主体はその内容を条例化した。その結果、親と同居し、その最期をみとった子供は、住宅を明け渡さなければならない。このような無慈悲な住宅制度は、世界のどの国にもない。せめて子供の代まで住み続けられるよう、国の責任で行うことを求める。(三)一九九六年の公営住宅法改正に伴い、公営住宅の入居収入基準は二五%に引き下げられた。それから二十数年経た今日、公営住宅の実態は高齢化率五〇%を超える限界団地化の様相を呈している。また、収入分位一の十万四千円以下の世帯が八〇%近く居住し、救貧住宅化しており、良好な団地自治とコミュニティを破壊している。このような事態は、ソーシャルミックス(社会的混合)の観点からも正常ではない。今、公営住宅団地の活性化の要件は、多様な世代が住み続けられることによる豊かなコミュニティの形成にある。そのためには幅広い世代の入居が可能になるよう、入居収入基準を早急に見直すことが必要であり、当面、公営住宅法改正前の三三%に戻すよう求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、災害対応や若者の住宅難解消のために、公営住宅を大量供給すること。
二、入居承継制度の原則配偶者制度を撤廃し、子の代まで入居できるようにすること。
三、入居収入基準を見直し、幅広い世代が入居できる公営住宅にして、そのコミュニティの活性化を図ること。

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