請願

 

第198回国会 請願の要旨

新件番号 19 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  現在、日本の私立大学・短期大学(以下「私立大学」という。)には、大学生全体の約七三%(二〇一七年度・約二百二十五万人)が学んでいる。数多くの卒業生が日本社会の様々な分野で活躍するなど、私立大学は大変大きな役割を果たしている。しかし、私立大学の学生・父母等は、非常に重い教育費負担を強いられている。私立大学学部の初年度納付金の平均額は百三十一万六千八百十六円であり、高校入学から私立大学卒業までに掛かる入在学費用は一人当たり一千万円近くにも上る。教育は、人類にとって必要不可欠な営みである。誰もが教育を受ける権利を有し、教育を受ける機会は均等に与えられなければならない。諸外国では、高等教育を無償としている国も数多くある。ところが、日本では学費が非常に高額な上、奨学金のほとんどが貸与=ローンであり、卒業後の返済額は多額で、奨学金破産が社会問題となっている。昨年から給付型奨学金制度が開始されたが、対象者も給付額もごく僅かで、極めて不十分なものである。こうした中で、多くの私立大学生が学業に専念できない状況に置かれている。二〇一二年に日本政府が国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項の受入れを決定したことを踏まえれば、高等教育を含む全ての教育費の無償化を進めていくべきである。あわせて、私立大学と国公立大学との間には、国の財政支援に大きな格差がある。国から私立大学への補助(私大助成)を学生一人当たりに換算すると約十四万円であるが、国立大学への交付額は学生一人当たり約百八十万円である。国立大学も私立大学も法律上、同等の高等教育機関であり、このような格差を放置すべきではない。一九七五年に私学振興助成法が制定された際、参議院は附帯決議で経常的経費の二分の一補助を速やかに実現することを求めた。その後、補助率は二九・五%(一九八〇年度)にまで達したものの後退し、現在では九・九%(二〇一五年度)にまで低下している。そのため、私立大学は学費収入に依存せざるを得ない財政状況にある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、私立大学生の学費負担を軽減するため、以下の施策を速やかに実施すること。
 1 「給付型奨学金」の給付額と対象人数を増やすこと。
 2 高校で実施されている「就学支援金制度」を大学生にも拡大すること。
 3 無利子奨学金の貸与基準を見直し、希望者全員が受給できるようにすること。
二、奨学金の返済は、卒業後の本人所得に応じて負担が緩和されるよう改善すること。
三、大学の学費無償化に向けた計画を立案すること。
四、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するよう私大助成を増額すること。

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