請願

 

第197回国会 請願の要旨

新件番号 121 件名 地方自治体の財政指標に関する請願
要旨  地方自治体の財政指標には、その自治体の当年度の成績を端的に示す指標がない。そこで、民間企業における損益に相当する指標として「単年度プライマリーバランス(単年度PB)」(仮称)という指標を地方自治体の成績評価の重要指標として採用することを求める。計算式は、(基金-地方債の対前年度増減額)+(実質収支の対前年度増減額)とし、公表されているデータから計算可能である。単年度PBの意味するところは、基金(金融資産)と地方債(金融負債)の差額である金融資本の当年度中の増減額を主体とし、補足的に歳計現金の当年度中の増減額、それに繰越明許費等(繰延資産)の年度差額を加味したものである。地方自治体が保有する道路、橋梁(きょうりょう)、公園、庁舎等は売却不可能な財産である。金融資本の増減すなわち単年度PBが財政運営上の基本指標と言える。一般的にプライマリーバランスは歳入歳出から計算することになっているが、この方式は基金と地方債から計算する方式とした。(本年基金残-本年地方債残)-(前年基金残-前年地方債残)+単年度収支と、既存の財政指標五個のみで計算できる。この指標はその年度の成績が一目瞭然であり、この指標の経年変化を見れば自治体財政の健全性の方向が見えてくる。さらに、その他の指標との組合せで分析が広げられる。単年度PBが黒字にならなければ基金は増加しない。他の自治体との比較が容易で、切磋琢磨(せっさたくま)できる。地方財政のバイブルと言われている「地方財政法逐条解説」では、地方債を起こす場合の基本的な事項として「地方債を財源としなければならないか。地方税その他の一般財源によって実施することができないかどうか」を検討すべきと述べている。基金は立派な一般財源(歳入の中の繰入金)である。地方債発行の前に基金の活用を考えるべきである。自治体の財政報告書等では、「計画的に基金を積み立てる必要がある」「将来の経済変化に対応するために基金の積立てを行っている」などの表現がある。基金温存のために地方債を発行すれば、基金の取崩しは減少し、基金残高は増加(資産は増加)するが、地方債も増加(負債の増加)し、金融資本として考えればプラスマイナスゼロで金利負担が発生するだけである。地方債発行で基金を増やそうとするのは無意味であり、単年度PBの黒字化こそが基金の増加をもたらす。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、地方自治体の財政指標にその自治体の当年度の成績を端的に示す指標がないことから、国は、民間企業における損益に相当する指標として「単年度プライマリーバランス(単年度PB)」(仮称)を地方自治体の成績評価の重要指標として採用すること。なお、その計算式は、(基金-地方債の対前年度増減額)+(実質収支の対前年度増減額)とする。

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