請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 2507 件名 教育予算を世界水準に引き上げ、権利としての教育無償化と給付奨学金の拡大を求めることに関する請願
要旨  日本の奨学金制度が始まり七十三年目の二〇一七年四月、給付制度が誕生し、二〇一八年度から本格実施された。しかし、一学年二万人に限定され、給付月額も二~四万円であり、真に必要な子供たちの教育を保障する制度になっていない。文部科学省の調査でも住民税非課税世帯の大学生が一学年約六万人いるとされており、選定する教育現場で生徒たちの貧しさ比べが行われている。全国私立学校教職員組合連合が二〇一七年六月に一万四千人余の私学高校生に対して行ったアンケートでは、「今選挙に行って変えたいと思うもの」のトップが「大学進学と奨学金」であった。「親の負担に後ろめたく思う、七〇%」「兄弟に我慢をさせて申し訳ない、七六%」など、高校生の多くが教育費の家計負担に負い目を感じながら高校生活を送り大学進学に悩んでいる。高騰する大学の学費に対し、政府は、受益者負担主義に立ち有利子の奨学金を拡大してきた。その結果、奨学金という名の多大な借金を背負う問題や返還の不安を持つ生徒や学生が進学を断念したり、ブラックバイトにはまる問題が若者の貧困として社会問題化している。高等教育を受けても安定した雇用が保障されない社会で学生に長期ローンを組ませる制度に限界が来ている。二〇一二年九月、政府は、教育無償化を進める国になると国際公約した。あれから五年、OECD(経済協力開発機構)加盟三十五か国中、日本は対GDP(国内総生産)比で教育に対する公財政支出が三・二%(二〇一四年、平均四・四%)と最下位である。国連の社会権規約委員会は、日本政府に対し二〇一八年五月までに教育無償化を始めとする権利としての教育を実現する迅速な措置を求めている。この二〇一八年問題を解決することは喫緊の課題である。
 ついては、早急に教育予算を世界水準に引き上げ、次の事項について実現を図られたい。

一、幼児教育から高等教育まで教育無償化を早期に実現すること。
二、大学等給付奨学金を飛躍的に拡大し、成績基準を外すこと。
三、大学等奨学金の返還困難者に対する救済制度を抜本的に拡充すること。

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