請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 1967 件名 安心・安全で快適な公営住宅制度の拡充に関する請願
要旨  格差と貧困が広がっている。取り分け、若者の貧困が大きな社会問題になっている。大学を卒業し、社会人としてのスタートは奨学金四百万円以上の借金を背負っての門出であり、その若者の四〇%以上が非正規労働者で年収二百万円以下のワーキングプアである。また、独身の二十代~三十代の青年の多くは、自立できずに親と同居しているのが実態である。こうした事態が多くの若者の晩婚化を生み出し、少子高齢化に拍車をかけている一因になっている。若者の自立に最も大事なのが住まいである。民間住宅の高額な賃貸住宅では、低賃金の若者には住むことができない。それが多くの若者の自立を妨げている要因にもなっている。公営住宅の門戸を若者に広く開放し、その自立を支援する制度設計を国が責任を持って推進することを求める。国の主導で推進された「公営住宅管理の適正な執行について」(二〇〇五年)は、公営住宅の地位承継を原則配偶者にするよう事業主体に求めた。その結果、多くの地方自治体は、地位承継を原則配偶者にする内容で条例化した。親の死後に同居する子供が住み続けられない住宅制度は、世界のどの国を見てもない。住む権利の剥奪に等しい地位承継制度の通達を撤回し、少なくても子供の代までは地位承継ができる制度改正を国の責任で行うことを求める。公営住宅の入居収入基準引下げは、公営住宅への入居者を高齢者世帯に特化する結果となり、公営住宅の高齢化率は軒並み五〇%を越し、団地自治やコミュニティが成り立たない状況が生まれている(限界団地化)。国は二〇一一年から高齢者住まい法により、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に政策転換し、現在では二十一万戸が供給されている。しかし、サ高住は安否確認や生活相談、配食や介護、そして、医療のサービスが提供されるが、その費用は二十万円~二十五万円と高額である。また、サ高住は住宅という名称が付いているが、その実態は要介護者が八八%入居しているのが実態であり、介護施設化している。一方、公営住宅は限界団地化の様相を呈し、介護支援を受ける高齢者世帯が集住化している。今、これらの高齢者世帯が住み慣れた団地で自分らしく安心して暮らしていける福祉的施策が求められている。国の主導で公営住宅に入居する高齢者世帯に福祉的サポートができる施策を展開するよう求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、若者も入居できる公営住宅の大量供給で、若者の自立支援を促進すること。
二、地位承継制度に関する国土交通省の通達を撤回し、安心して住み続けられる公営住宅制度に、国として事業主体に働きかけること。
三、高齢者が安心して住み続けられる公営住宅施策の拡充を図ること。

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