請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 1947 件名 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者の支援と肝炎ウイルス検診等の推進に関する請願
要旨  平成二十一年に成立した肝炎対策基本法の前文に「B型肝炎及びC型肝炎に係るウイルスへの感染については、国の責めに帰すべき事由によりもたらされ、又はその原因が解明されていなかったことによりもたらされたものがある。」と記載されているように、多くの患者は、過去の血液行政や医療行政の不具合により感染し発症している。厚生労働省が平成二十九年三月に発表した「B型・C型肝炎による肝硬変・肝がん患者における医療費等の実態調査」では、平成二十七年時点で病院に通っているウイルス性肝臓病の患者数は六十五万人、そのうち重い肝硬変患者数は四・三万人、肝がん患者数は十・三万人である。このように十五万人が重いウイルス性肝臓病で苦しんでいる。平成三十年十二月から肝がん・重度肝硬変患者に対する医療費助成が実施される予定であるが、この制度が全ての都道府県において同時に実施となり、患者が同様にこの医療費助成を利用できるよう強く求める。肝がんに対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大、また、現在対症療法に限られている重度肝硬変に対する抗ウイルス薬の導入を一層進め、病気の回復につなげることを求める。C型肝炎は、ほぼ完全にウイルスを排除できる薬剤が相次いで登場した。しかし、B型肝炎は、ウイルスを排除できる薬がまだ開発されていない。肝炎ウイルスが排除されない限り、肝がん発症の危険から免れることはできない。国は予算を投じて画期的な治療薬等の研究・開発に力を入れているが、一日も早い創薬実現が望まれる。平成二十六年七月の厚生労働省第十二回肝炎対策推進協議会資料「肝炎ウイルスキャリアと患者数の動向について」によると、平成二十三年度で通院・入院しているキャリアー、肝炎ウイルス感染を知らない潜在キャリアー、感染を知りながら継続的に受診をしていないキャリアーが、それぞれ八十万人、七十七・七万人、五十三万人~百二十万人となっている。効果が高くかつ副作用の少ない新しい治療薬が開発された今、潜在患者や治療に結び付いていない感染者を検診や陽性者のフォローで掘り起こし、治療に結び付けていくことが大切である。効果的なウイルス検診の実施と陽性者の受診・受療を一層促進することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者に対する医療費助成を確実に実施すること。
二、肝がん・重度肝硬変の治療薬・治療法の研究開発を一層促進すること。
三、B型肝炎ウイルスを排除する治療薬の研究開発を一層促進すること。
四、潜在する肝炎患者・感染者の早期発見と早期治療のため、肝炎ウイルス検診と陽性者を受診・受療に結び付ける施策を一層促進すること。

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