請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 1911 件名 最低賃金引上げ実施のための中小企業・小規模事業所への特別補助、下請中小企業支援に関する請願
要旨  一握りの大企業が巨大な収益を上げ、株主配当と内部留保を拡大する一方で、圧倒的多数の働く人々の生活は苦しくなる一方である。非正規雇用労働者は全労働者の四割に及び、年収三百万円未満で働く人は全労働者の六割近くに達している。そのため個人消費が落ち込み、少子化・人口減少が全国的に広がり、日本の経済・社会に深刻な影を落としている。この問題の解決には、八時間働けば誰でもどこでも人間らしく普通に生活ができる賃金水準に底上げする必要がある。アメリカでは、ファストフードで働く人たちが時給十五ドルを求める運動に立ち上がり、大統領候補の選挙公約にまでなり、全米各地で具体的な引上げを実現してきている。こうした動きについて、日本でもできないはずはない。日本の最低賃金は都道府県ごとに四つのランクに分けられ、二〇一七年秋の改定では、最高(東京、九百五十八円)と最低(高知・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の八県、七百三十七円)で三割近い格差があり、その差は毎年拡大している。全国労働組合総連合などが実施している最低生計費試算調査によれば、一人の労働者が自立して人間らしく暮らすには全国どこでも月額二十二万~二十五万円(時給千五百円程度)が必要であり、都市部と地方での最低生計費の差はほとんどない。賃金格差によって労働者は仕事と豊かさを求めて都市部に流出していく。その結果、地方の高齢化と過疎化が進み、活力が奪われ、地域経済はますます疲弊し、逆に都市部では労働人口が増えて賃金が上がりにくくなる。こうした実態を改善するには、格差をなくすように制度を改善することが必要である。最低賃金法を改正し、普通に働けば人間らしい生活ができる全国一律最低賃金制度の創設を求める。さらに、地域経済を温め、人口減少社会に歯止めをかける確かな道として時給千円以上を今すぐ実現することを求める。そのためにも地域経済を支える主役である中小企業・零細事業所に最低賃金の引上げを保障する特別な財政措置を実施することを求める。さらに、単価の不当な切下げなど大企業の下請いじめを正すことなど、原材料費などの諸経費と人件費が価格に適正に反映される仕組みの整備が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金の引上げを円滑に実施するため、中小企業・小規模事業所への特別補助を行うとともに、原材料費と人件費が価格に適正に反映される仕組みを総合的に整備すること。

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