請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 1335 件名 介護労働者の処遇改善と介護報酬の緊急改定に関する請願
要旨  厚生労働省は、二〇一五年六月、二〇二五年には二百五十三万人の介護人材が必要とされるが、三十七万七千人の不足が見込まれると発表した。介護事業の推進にとって、介護労働者の人材確保と処遇改善は、喫緊の課題となっている。介護労働者の処遇は厚生労働省の賃金構造基本統計調査では全産業平均と月額で十万円の開きがあり、やりがいはあっても働き続けることが困難な実態にある。介護事業者からも「今の介護報酬では人材確保のために十分な賃金を支払えない」「人材の確保ができず、事業所の努力だけでは安定的な運営が難しい」との声が出されている。二〇一五年四月、政府は、介護報酬の二・二七%の引下げを行った。この改定は、介護職員の処遇改善(プラス一・六五%)、認知症・中重度ケア(プラス〇・五六%)など加算と抱き合わせで実施されたが、加算を除くと実質的に四・四八%もの大幅な引下げとなった。報酬引下げにより、多くの事業所が深刻な経営困難となり、介護サービスの縮小、介護事業からの撤退など、地域の介護基盤の弱体化・崩壊につながっている。国は、マイナス改定と処遇改善加算は両立するとしているが、介護事業の経営が困難な中で介護労働者の処遇が引き下げられるという事態が発生している。地域支援総合事業の実施に伴って、担い手を専門職から無資格労働者・ボランティアやシルバー人材センターへ移行したり、あるいは、外国人の技能実習生制度を介護分野に拡大することとしており、人材確保の根本問題である介護労働者の抜本的な処遇改善が棚上げされかねない。利用者・家族が質の高い介護を受けられるようにするためにも、介護事業所が安定的に介護事業を続けていくためにも、専門職である介護労働者が生き生きと働き続けられる条件が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国の責任で、介護労働者の確保、月額十万円の格差を埋めるための施策を早急に実施すること。処遇改善の対象を介護職場で働く全ての従事者に拡大すること。
二、介護労働者の処遇改善、介護事業の安定と充実したサービスが提供できるよう、介護報酬の大幅なプラス改定を緊急に実施すること。

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