請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 1159 件名 精神保健医療福祉の改善に関する請願
要旨  精神科を受診する人は年間三百万人を超え、精神疾患は、がん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病とともに重点疾患に位置付けられ、誰でも安心して気軽にかかれる精神科医療の充実は国民的な課題となっている。しかし、日本の精神科医療は、諸外国に比べ半世紀以上も後れを取り、施設収容中心で、一般病院に比べて低医療費に抑えられ、医療スタッフの人員も極めて少ない状況である。社会防衛的な誤った観点から隔離・収容政策が続けられる中で、精神疾患に対する差別・偏見が助長され、世界的にも類を見ない長期にわたる社会的入院や隔離・身体拘束による人権侵害も起きている。また、近年、認知症患者の精神科病院への長期収容等の問題も起きている。日本は、二〇一四年に障害者権利条約を批准している。全ての人の人権が尊重され、患者・利用者本位の精神保健医療福祉の改革を図ることが必要である。
 ついては、誰もが地域社会の中でその一員として安心して暮らし続けられるよう、次の事項について実現を図られたい。

一、精神疾患患者に対する身体拘束や隔離を原則廃止し、早期回復・社会復帰に向けた良質な医療が提供できるよう、精神科専門職の配置人員を引き上げること。また、一般科より低い人員配置(医師は三分の一、看護師は三分の二)を認めている精神科差別の「精神科特例」を廃止すること。
二、精神疾患患者が地域で安心して生活できるよう、地域住民・行政・福祉・医療等が連携して包括的な支援を行う体制を拡充し、退院後も継続した支援が受けられるよう整備するとともに、差別・偏見をなくすための啓発を進め、施策には当事者の声を反映させること。また、認知症患者が地域で暮らせる基盤整備を抜本的に強化して精神科病院への長期収容をなくすこと。
三、入院中心から地域への政策転換を進める移行期において、精神科病院に対する財政支援や労働者の雇用保障、教育・研修等の措置を講じること。

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