請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 617 件名 私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願
要旨  現在、私立大学・短期大学(以下「私立大学」という。)には大学生全体の約七四%(二〇一六年度・約二百二十三万人)が学んでおり、日本社会の各分野で活躍する人物を数多く輩出するなど私立大学は非常に大きな役割を果たしている。その一方、学生・父母等にとって学費負担は非常に重いものとなっている。私立大学の初年度納付金は平均約百三十一万円、高校入学から大学卒業までに必要となる入在学費用は一人当たり約九百万円となっており、非常に多額の費用負担を強いられている。日本社会の発展を図る上で高い教育水準を維持することが重要であり、そのための費用は社会全体で負担すべきである。また、二〇一二年に日本政府が国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項の受入れを決定したことを踏まえるならば、高等教育を含む全ての教育は、本人とその家族の負担によらず無償とすべきである。二〇一七年度予算から給付型奨学金制度が新設された。しかし、給付対象となる学生数は非常に限定されている。多くの学生が経済的不安なく、大学で学ぶことのできる制度となるよう一刻も早い改善が求められる。あわせて、私立大学と国公立大学との間に存在する大きな不公平の解消は喫緊の課題である。国から私立大学への補助(私大助成)を学生一人当たりに換算すると約十四万円であるが、国立大学は学生一人当たり約百八十万円となっており、経済的負担と修学環境に明らかな格差が生じている。国立大学も私立大学も法律上、同等の高等教育機関である。このような格差を放置するべきではない。一九七五年に私学振興助成法が制定された際、参議院は、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するとの附帯決議を行った。その後、補助率は二九・五%(一九八〇年度)にまで達したものの、現在は九・九%(二〇一五年度)にまで落ち込んでいる。そのため、私立大学は、高学費に依存せざるを得ない状況に置かれている。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、私立大学生の学費負担を軽減するため、以下の施策を速やかに実施すること。
 1 「給付型奨学金」の給付額・対象人数を増やすこと。
 2 高校で実施されている「就学支援金制度」を大学生にも拡大すること。
 3 無利子奨学金を希望者全員が受給できるように拡充すること。
二、奨学金の返済は、本人所得に応じて負担が緩和されるよう改善すること。
三、大学の学費無償化に向けた計画を速やかに立案し、実施すること。
四、私立大学の経常的経費の二分の一を補助するよう私大助成を増額すること。

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