請願

 

第196回国会 請願の要旨

新件番号 586 件名 段階的な定年年齢延長の実現と定年まで意欲を持って教育活動に携わることのできる労働環境の整備、教職員定数の改善等に関する請願
要旨  急速な少子高齢化社会の流れにあって、社会支出の総額は二〇一四年度に百十六・九兆円となっており、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年度には百五十兆円に迫ると推計(厚生労働省発表)されている。政府はこうした状況に対応するため二〇一一年に社会保障と税の一体改革をまとめ、その中長期的な道筋となるプログラム法(二〇一三年成立)によって実行段階に移った。この法律により、二〇一四年から消費税率の引上げとともに七十歳から七十四歳の医療費自己負担の二割負担への段階的引上げが実施され、翌年、介護保険においても利用者負担増や介護サービス受給基準の引上げ等が実施された。また、同年、年金においてもマクロ経済スライドが初めて発動され、支給額が削減された。さらに、二〇一六年末には年金制度改革法が成立し、物価が上昇しても現役世代の賃金が下がれば年金支給額も削減される新ルールが導入されることになった。これらの内容を見ると、社会保障と税の一体改革に示された「必要な社会保障の充実・機能強化を確実に実施し、同時に社会保障全体の持続可能性を確保するため」とした基本的な考え方から後退し、公的給付の削減と国民負担増の道に進むのではないかという不安を抱かざるを得ない。今、学校で働く教職員は、多忙化する職務の中、複雑化する社会・地域の中で多様化する子供たちと向き合い、いじめを始めとする多くの教育課題に取り組み、奮闘している。教職員が一人一人の子供と向き合う時間を確保するためには、教職員定数の改善を図ることにより多忙を排し、定年まで安心して職務に専念できる環境を整えることが不可欠である。また、医療・介護・年金制度を持続可能な制度として確立するためには、子育て支援や教育費負担の軽減、若者の就労保障等を未来社会への投資として社会保障の施策の基本に据える必要がある。長時間労働を是正し、誰もが生き生きと働くことのできる労働環境を整備し、生活の安定を図るための政策を進める必要がある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、奨学金制度を拡充すること。
二、段階的な定年年齢延長の実現と定年まで意欲を持って教育活動に携わることのできる労働環境の整備を進めること。また、そのために教職員定数の改善を早急に行うこと。

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