請願

 

第196回国会 請願の内閣処理経過

件名 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願
新件番号 1570 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H31.3.25
処理要領 一 難病の原因の究明、治療法の早期開発及び診断基準の確立などの難病の研究等の推進については、平成三十年度予算において、約百億円を計上しており、厚生労働科学研究費補助金等の難治性疾患政策研究事業及び難治性疾患実用化研究事業に取り組んでいる。引き続き、これらの研究を推進してまいりたい。
  治療体制の確立については、都道府県において、新たな難病の医療提供体制を整備するための経費について、平成三十年度予算において、約五億円を計上しており、引き続き、全ての都道府県で地域の実情に応じた医療提供体制が構築されるよう取り組んでまいりたい。
  難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号。以下「難病法」という。)第五条に基づく指定難病の対象となる疾病の拡大については、難病法施行時の百十疾病から、平成三十年四月に三百三十一疾病まで拡大したところである。また、ポスターの作成、リーフレットの配布、政府広報等を行っており、これらの取組を通して、難病に対する国民の理解が促進されるよう、努めてまいりたい。
二 医療費等の経済的負担の軽減については、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、高額療養費制度により、経済的負担の軽減を図っている。また、特に難病患者については、難病法に基づく医療費助成制度により、更なる経済的負担の軽減を図っている。
  難病患者の就労支援については、公共職業安定所において、様々な難病の症状に応じた助言ができる難病患者就職サポーターを配置し、個々の症状の特性を踏まえた職業相談等を行っている。
  障害福祉サービスについても、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)の改正により、障害者の地域での一人暮らしを支援する「自立生活援助」等の新サービスが創設され、平成三十年四月一日から施行されているところである。
三 慢性的な疾病を抱える児童及びその家族の負担軽減並びに長期療養をしている児童の自立を図るため、平成二十七年一月から、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を実施している。
  また、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十一条の五の規定に基づき、平成二十七年十月に、小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針(平成二十七年厚生労働省告示第四百三十一号)を策定するとともに、小児から成人への移行期医療支援体制を構築するため、平成二十九年十月に都道府県向けの移行期医療に係るガイドを策定している。さらに、都道府県の移行期医療支援体制を整備するための経費について、平成三十年度予算において、約三千万円を計上しており、今後も、慢性的な疾病を抱える児童等の健全な育成に係るこれらの施策を推進してまいりたい。
  難病及び慢性疾患等の障害のある幼児、児童及び生徒に対しては、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の趣旨を踏まえ、特別支援学校及び特別支援学級等において一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じた教育を行うなど、特別支援教育の充実に向けた取組を進めており、病院等に入院又は通院して治療を受けている児童生徒に対しては、教育機会を確保することを目的とした事業を実施している。また、医療的ケアを行う看護師の配置に必要な経費を補助するとともに、酸素吸入や人工呼吸器の管理など、高度な医療的ケアを必要とする児童生徒等に対する学校における医療的ケアの実施体制の充実を図ることを目的とした事業を実施している。
  今後も、「児童福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成二十六年五月二十日参議院厚生労働委員会)の趣旨も踏まえつつ、一層の充実を図ってまいりたい。
四 難病の医療提供体制については、難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成二十七年厚生労働省告示第三百七十五号)を踏まえ、平成二十八年十月に、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会において「難病の医療提供体制の在り方について(報告書)」を取りまとめ、平成二十九年四月に「都道府県における地域の実情に応じた難病の医療提供体制の構築について」(平成二十九年四月十四日健難発〇四一四第三号厚生労働省健康局難病対策課長通知)を発出し、都道府県において地域の実情に応じた難病の医療提供体制を構築するに当たって参考とするための「難病の医療提供体制の構築に係る手引き」を示している。これらを踏まえ、都道府県において、新たな難病の医療提供体制が構築されるよう取り組んでまいりたい。
  医師の確保については、平成二十年度以降、医学部入学定員を臨時的に 増員してきており、平成三十年度は九千四百十九名としているほか、医師が不足している地域の病院に対する支援等を行っているところである。
  看護師等の確保については、これまでも、離職する看護師等について都道府県ナースセンターへの届出制度を活用した再就業の支援等の対応を行っているところである。
  また、医師需給の見通しや、その確保策、地域偏在対策等について検討するため、平成二十七年十二月より「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」を開催し、同分科会での議論等を踏まえ、医師偏在対策等を内容とする「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」を第百九十六回通常国会に提出し、同国会において成立、平成三十年七月二十五日に公布されたところである。引き続き地域医療の格差の解消に取り組んでまいりたい。
  また、消費税増収分を活用した地域医療介護総合確保基金(医療分)については、平成三十年度予算において、公費約九百三十四億円を計上している。各都道府県における医療従事者等の確保及び養成に資するため、地域の実情に応じて本基金を活用していただくこととしている。
  難病患者に対するリハビリテーションについては、訪問リハビリテーション及び介護予防訪問リハビリテーションについて、特定医療費の支給対象とするとともに、在宅の難病患者の多様化するニーズに対応した適切なホームヘルプサービスの提供に必要な技能を有するホームヘルパーを養成するため、平成三十年度予算において、約千万円を計上し、自治体が実施する研修事業に対して補助を実施している。
  さらに、地域医療介護総合確保基金を活用した質の高い在宅医療の確保や、在宅医療に関する専門知識や経験を豊富に備え、地域で中心となって人材育成事業を支えることのできる高度人材の育成などの取組により、在宅医療の提供体制の充実に取り組んでまいりたい。

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