請願

 

第195回国会 請願の要旨

新件番号 263 件名 全国一律最低賃金制度の実現に関する請願
要旨  一握りの大企業が利益を謳歌(おうか)して、内部留保を更に積み増し、株主配当を大幅に増やす一方で、大多数の働く人々の生活は厳しくなる一方である。非正規雇用労働者は全労働者の四割に及んでいる。そして、政府も結婚の壁と認める年収三百万円未満で働く人は、今や全労働者の六割近くに達している。そのため個人消費が冷え込み、少子化・人口減少が進行して、日本の経済・社会に深刻な影を落としている。この問題の解決には、八時間普通に働けば誰もが憲法が保障する人間らしい最低限の生活ができる賃金に底上げする必要がある。アメリカではファストフード労働者などに時給十五ドルを求める運動が大きく広がり、大統領候補の選挙公約になったが、日本でもできないはずはない。日本の最低賃金制度は、地域別にランク分けされ、諸外国に大きく見劣りする低水準に置かれている。地域間格差が年々広がり、最低賃金の低い地方からの若者などの労働力の流出が大きな問題になっている。全国労働組合総連合などが実施した最低生計費試算調査によれば、一人の労働者が人間らしく自立して暮らすには全国どこでも月額二十二万~二十五万円(時給千五百円程度)が必要であり、都市部と地方の最低生計費の差はほとんどない。こうした実態を踏まえた最低賃金にすることが強く求められている。最低賃金法を改正し、普通に働けば人間らしい生活ができる全国一律最低賃金制を創設することを求める。それに至る過程として時給千円以上を政治の決断で今すぐ実現することを求める。それこそが地域経済を温め、人口減少社会に歯止めをかける確かな道である。そのためにも地域経済を支える主役である中小企業・小規模事業者に最低賃金の引上げを保障する特別の財政措置を行うことを求める。そして、単価の不当な切下げなど大企業の下請いじめを正すことなど、コストが価格に適正に反映される仕組みを整備するよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、全ての働く人に人間らしい生活を保障するため、最低賃金法を改正し、生計費原則に基づく「全国一律最低賃金制度」を実現すること。

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