請願

 

第193回国会 請願の要旨

新件番号 2328 件名 教育予算を世界水準に引き上げ、給付奨学金を拡大することに関する請願
要旨  教育費負担の重さが格差と貧困を拡大させ、若者の未来を暗くしている。大学生の五人に二人が利用する日本学生支援機構の貸与奨学金の約七割は有利子であり、卒業と同時に平均三百万円、多い場合は一千万円以上の借金になることから、進学を断念する者、アルバイトで学業に専念できない者、卒業後に返還困難に陥る者が増え、社会問題化している。学費負担軽減を求める声が高まる中で、政府は、二〇一七年度予算において初めて給付奨学金の創設と所得に応じて返還金額が変わる制度を導入した。しかし、二〇一七年度の給付奨学金の対象人数が二千八百人、本格導入の二〇一八年度以降二万人という僅かな枠は、経済的理由で進学を断念せざるを得ない者を後押しする制度としては極めて不十分である。また、新たな所得連動返還型奨学金制度は、諸外国の制度にある返還期間の上限や低所得期間中の返還免除制度がなく、所得ゼロでも返還させ、低所得者には百年以上の返還期間が想定されている。さらに、保証人でもない扶養者にマイナンバー登録の義務を課すことは、家族主義的ローンとして利用者の結婚の足かせになり、少子化対策にも逆行している。二〇一二年九月に政府は教育無償化を進める国になると国際公約したが、教育無償化は進まずに学費は上がり続けている。OECD(経済協力開発機構)加盟国中、大学授業料がない国は十七か国、給付奨学金のある国は三十二か国で、大学で授業料を取りながら給付奨学金のない国は日本のみである。日本は対GDP(国内総生産)比で教育に対する公的支出が三・二%(全教育段階・二〇一三年)とOECD加盟国中最低水準にあり、これを世界水準(加盟国平均四・五%)に引き上げることで、教育無償化を前進させることを強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、全ての段階の教育無償化を早期に実現すること。
二、給付奨学金を拡大すること。
三、奨学金の返還困難者に対する救済制度を抜本的に拡充すること。

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