請願

 

第192回国会 請願の要旨

新件番号 1136 件名 福島原発被ばく労働者の安全確保等に関する請願
要旨  政府は、国策として原発を推進し福島原発事故を招いた責任を省みず、重大事故が起きることを前提に原発の再稼働を進めようとしている。川内原発一・二号機の審査書(案)作成後の二〇一四年七月、田中原子力規制委員長は突然「現在、緊急作業時の被ばく線量限度を百ミリシーベルトとして規制を行っているが、それを超えるような事故が起こる可能性を完全に否定することはできない」と被ばく限度引上げを始め緊急時作業に関する見直し・検討を提案した。厚生労働省と原子力規制委員会は、二〇一五年五月から「緊急時に被ばく限度を二百五十ミリシーベルトに引き上げるための法令改定案」のパブリックコメントを開始し、原発再稼働を見込んで事態は急展開している。原発重大事故が起きれば、通常作業とは桁違いの被ばくが強要される。緊急時作業被ばく限度の二百五十ミリシーベルトへの引上げは、労働者の安全と健康を一層危険にさらす。原発労働者は、重大事故を前提とする原発再稼働・原発維持の犠牲に供されようとしている。これは、労働者の人権じゅうりんであり、労働安全衛生法の労働者保護の法体系を破壊するものである。原発を再稼働しなければ、重大事故による破滅的な状況の回避のために高線量被ばくが必要になることなどない。厚生労働省の検討会報告書では、福島原発事故の緊急作業で大量被ばくし、その後通常被ばく業務から離れている労働者について、二〇一六年四月から通常被ばく業務従事を認め、合計して生涯千ミリシーベルトを超えないよう被ばく管理するとしている。大量被ばくした労働者に更なる被ばくを強要するのではなく、被ばく労働以外の職場・生活を保障すべきである。現在、福島原発では毎日七千人もの労働者が動員され、被ばくが増え続けている。作業の安全確保、被ばく低減、健康管理・生活保障、雇用条件の監視・是正指導を行うべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、福島原発事故の緊急時作業で大量被ばくした労働者に被ばく労働以外の職場・生活を保障すること。
二、福島原発被ばく労働者の作業の安全確保、被ばく低減、健康管理・生活保障、雇用条件監視・是正指導を行うこと。

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