請願

 

第192回国会 請願の要旨

新件番号 1082 件名 マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の撤回と対象拡大の中止に関する請願
要旨  二〇一五年十月施行のマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)は、二〇一六年一月から運用が開始された。官と民における社会保障と税分野の様々な個人データを生涯不変の一つのマイナンバーで管理し、情報提供ネットワークシステムを通じて確実に名寄せ・統合して利用することを目的としているが、プライバシー侵害の危険性が極めて高い反面、社会保障や税務執行の適正・公平に十分資するとは言えず、むしろ、適正を欠き、不公平な結果を生ずるおそれがある。しかも、初期費用は約三千億円、維持費は年間三百億円とも四百億円とも言われ、費用対効果が非常に不鮮明である。二〇一七年一月から国機関で、七月からは地方公共団体等で情報連携が始まるが、この制度によって国民の自己情報コントロール権が形骸化すること、日本年金機構の百二十五万件年金情報漏えいが深刻な社会問題を引き起こしたように、一旦情報が漏れれば解決策もなく取り返しが付かないこと、諸外国でも成り済ましの問題が重大な社会問題となっていることが指摘されている。法律では社会保障、税、災害対策の三分野とされた利用範囲は、二〇一五年九月にマイナンバー法改正案が成立し、制度施行前で何ら検証ができないにもかかわらず、預貯金口座や医療分野(特定健康診査情報の管理や予防接種履歴)、自治体が条例で定める独自分野等への対象拡大が図られた。民間分野での利用範囲の拡大を目指していることを含め、危険性がますます高まることは、火を見るよりも明らかである。何よりも、政府は、国民に対してマイナンバー制度の説明責任を果たしていない。国民の権利、特に情報流出の際の損失責任、情報の範囲などを明確にしないまま制度運用を開始した。また、法人には個人情報保護法による刑事罰等もあり、特に中小法人からは膨大な費用負担や事務負担への批判が上がっており、担当者の精神的負担も計り知れない。安全性が十分に検証されていないマイナンバー制度を拙速に施行すべきではない。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、マイナンバー法を廃止し、マイナンバー制度は撤回すること。
二、マイナンバー制度の施行中は、利用対象の拡大を図らないこと。

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