請願

 

第192回国会 請願の要旨

新件番号 593 件名 障害児学校の設置基準策定に関する請願
要旨  全国的に障害児学校の児童・生徒数の増加が進み、障害児学校はこの十年間に三万三千三百二人の増加となっている。障害児学校の在籍者が十年前の一・四倍になっているにもかかわらず、学校建設はほとんど進まず、そのため全国で不足している教室が普通教室だけで三千六百二十二に上ることを文部科学省調査(二〇一五年度)も認めている。また、同じく文部科学省の公立学校施設実態調査報告(二〇一四年度)では、教育活動に必要とされる面積に対し実際の障害児学校の保有面積が三分の二以下である実態が明らかにされ、ほぼ一〇〇%充足している小中学校などとの違いが歴然としている。普通教室確保のために一つの教室を薄いカーテン一枚で仕切った教室は狭く、隣のクラスの先生や子供の声も筒抜けになり、落ち着いた授業にはならない。体育館を複数の学年・学級で使うので、できるだけ体を動かさない体育や年間通して玄関ホールで体育を行う学校もある。特別教室が普通教室に転用され、医療的ケアが必要な子供と動き回る子供が同じ空間で過ごさざるを得ない状況さえ生まれている。児童・生徒数の急増に教育条件の整備が全く追い付かない現在の状況は、子供たちの学ぶ権利を奪うばかりか、命と健康をも脅かしており、もはや人権侵害と言える。こういった事態の根幹にあるのが幼稚園から小中学校、高校、大学、専門学校まで全てにある学校設置基準(学校を設置するのに必要な最低の基準)が障害児学校だけにないことである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、学校教育法にのっとって、以下の項目を含む障害児学校の設置基準を早急に策定すること。
 1 おおむね十八学級以下で児童生徒数が百五十人以下の適正規模の学校とすること。
 2 学部別に音楽室や調理室などの特別教室を備えること。
 3 障害種別に必要な訓練室や作業室などの特別教室を備えること。
 4 通学時間が一時間以内となるような基準にすること。
二、既存の障害児学校の環境について新たに策定する設置基準にのっとって見直し、学校の建設・増設を行うよう、各都道府県への補助を充実すること。

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