請願

 

第192回国会 請願の要旨

新件番号 96 件名 憲法第九十九条の厳守に関する請願
要旨  日本国憲法第九十九条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と明記されているが、そこには「国民」の文字はない。これこそがこの憲法が持っている権力者を縛るという近代立憲主義の立場を示す重要な条文である。二〇一三年の臨時国会では、安全保障会議設置法を十分な審議を経ないで成立させたのを皮切りに、特定秘密保護法を与党の多数の力で強行成立させた。特定秘密保護法は成立したが、廃止を求める世論と運動は日増しに高まっている。二〇一四年の通常国会で安倍首相は、集団的自衛権の行使に関して「最高責任者の私が責任を持って政府の答弁をしている。政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることで(行使容認は)可能であり、憲法改正が必要との指摘は当たらない」とし、「私たちは選挙で国民の審判を受ける」と述べた。そのように首相が自由に憲法の解釈を変更できるとしたら、立憲主義の立場に立つ最高法規としての憲法は否定され、三権分立の原則は崩されることになる。さらに、選挙で国民の審判を経て多数を得た時の政権が意のままに憲法の解釈ができるとすれば、憲法の最高規範性を壊し、憲法が憲法でなくなる。そもそも、憲法第九十九条によれば、政府は特に首相が率先して憲法の諸原則を否定する発言や行動など、許される余地はない。ましてや、集団的自衛権行使容認は、憲法が持つ平和主義の原則を根底から覆すものである。日本国憲法前文には「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と高らかにうたわれている。憲法第九十九条にのっとり、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に、憲法を尊重し、擁護する義務を果たすことを強く求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、憲法第九十九条を厳守すること。

一覧に戻る