請願

 

第192回国会 請願の要旨

新件番号 89 件名 全国一律最低賃金時給千五百円実現、介護・福祉・保育労働者の賃金格差是正に関する請願
要旨  アベノミクス=「GDP六百兆円」や「一億総活躍社会」は、安倍首相自身が「アベノミクスと安全保障政策は表裏一体」「GDPを増やすことができれば防衛費もしっかり増やすことができる」(二〇一五年四月訪米演説)と述べているように、膨大な軍事費を捻出するために女性も高齢者も一億国民を総動員しようという戦争国家体制づくりの政策である。こうした戦争国家政策を転換させなければならない。深刻化する格差・貧困問題を解決するために政府が取り組むべき課題は、まず、最低限度の生活を営む権利を保障する第一歩として、現行の地域別最低賃金を改め、全国一律千五百円最低賃金で賃金の底上げを図ることである。現在の全国加重平均時給七百九十八円では、所定労働時間千八百六十時間を掛けても年収百五十万円に届かない。アメリカ・ニューヨーク州で最賃十五ドルなど生活賃金として最低賃金を引き上げていく動きは世界の流れである。そして、介護・福祉・保育労働者の賃金は労働者の平均月収より十万円も低く、緊急課題として十万円の格差是正五か年計画を策定して取り組むべきである。また、十六・三%と先進国で極めて高い子供の貧困率の日本社会で、大学生の二人に一人が利用する奨学金(学資ローン)によって返したくても返せない若者が増え、貧困の連鎖を生んでいる。これを断ち切り、青年貧困をなくすために、大学学費無償化・給付制奨学金制度の創設、奨学金(学資ローン)返済負担の削減数値目標を明確にした行動計画を政府が策定することが必要である。子供の貧困率三七・五%、最賃六百九十三円の沖縄県では、県独自の実態調査を基に、二〇一六~二〇二一年度の六年間で三十億円の沖縄県子どもの貧困対策推進基金を創設し、乳幼児から保護者まで五段階のライフステージに即した施策を開始した。政府が地方自治体独自の貧困対策に学んで貧困率削減の数値目標を明確にした子供の貧困対策大綱見直しを早急に行うことを求める。以上の施策は、軍事費を削減し、法人税の強化、企業内部留保三百兆円への課税、富裕税、所得税の累進制の強化等によりグローバル資本と一%の富裕層に偏っている富の偏在を是正することによって実現しなければならない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、全国一律最低賃金時給千五百円を実現すること。
二、五か年計画を策定し、介護・福祉・保育労働者の賃金格差十万円を是正すること。

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