新件番号 | 3651 | 件名 | 福祉人材確保対策のための処遇改善に関する請願 |
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要旨 | 憲法第二十五条は、健康で文化的な生活を営む国民の権利を国の責任で保障するとしている。権利保障の具体的な仕組みが社会福祉制度であり、専門性を持った福祉労働者が現場で実践を積み重ねて制度を支えてきた。ところが、特別養護老人ホームの待機者は二〇一三年度で五十二万人を超え、保育所の待機児童も年度途中で毎年四万人を超えるなど、福祉を受ける国民の権利が保障できずに命さえ脅かされる実態が広がっている。その要因には福祉現場の深刻な人材不足があり、厚生労働省は五年間で七・四万人の保育士、十年間で百万人の介護士の確保が必要であると試算している。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では福祉労働者の賃金は全産業平均より月額九万円も低いこと、地方労働局の調査では介護・保育職場での法令違反率が平均を大きく上回っていることなどがマスコミでも報道され、深刻な人材不足にある福祉現場の実態に国民の関心も集まっている。福祉労働者の劣悪な賃金・労働環境を抜本的に改善し、福祉人材の確保と定着を図ることが喫緊の課題である。人材不足の早期解決を図ろうと第百八十六回通常国会において「介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律」が全会一致で可決・成立した。しかし、法律には具体的な処遇改善の金額などは明記されておらず、厚生労働省において二〇一四年六月から始まった福祉人材確保対策検討会でも大幅な処遇改善が望めるような論議にはなっていない。そればかりか、子育て支援員制度の導入や技能実習生制度の拡大による介護分野での外国人労働者受入れなど、福祉労働の専門性を否定するような人材確保策が政府内から提案されている。憲法第二十五条に基づく国民の権利保障を実現させるために、抜本的な処遇改善によって福祉労働者の人材を確保することを求める。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、利用者負担につながらないように、全額国庫負担による「処遇改善の仕組み」をつくり、介護労働者を始め、全ての福祉労働者の賃金水準を大幅に引き上げること。 二、一日のどの時間帯でも利用者の安心が守れるように、職員配置基準を抜本的に引き上げること。 三、基準内の職員配置については、正規雇用を基本とすること。 四、介護・福祉職場に蔓延(まんえん)する長時間労働などの「労働法令違反」を一掃するため、指導・監督を強化するとともに、法令遵守が可能となる基準と単価の引上げを行うこと。 |