請願

 

第190回国会 請願の要旨

新件番号 2308 件名 東北地方の安全・安心を支えるために必要な国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実に関する請願
要旨  就業している労働者の中には、年収二百万円以下の給与所得者は二〇一四年度において千百三十九万人となり、全労働者の二割を超え、不安定な雇用条件の非正規労働者も千九百六十二万人にも達し、労働者全体の四割近くに達するなど、働く貧困層(ワーキングプア)が増え続けている。また、大都市部と地方部においては賃金格差が広がり、都道府県別最低賃金でも東京都九百七円、鳥取県などの六百九十三円と格差は広がるばかりであり、これらの影響により人口が地方部から賃金の高い都市部に移動する現象も全国各地で起こっている。このように、国民生活が不安定になっているにもかかわらず、国と地方の公務員を十二年間で約五十万人、平成の合併で約千五百の市町村が削減され、国民生活を支える行政機関は縮小している。今求められているのは、公務員の削減ではなく、むしろ国の出先機関と独立行政法人がその責任と役割を発揮し、国民生活をしっかりと支える体制を築くことである。また、東日本大震災・原発事故の早期復興が急がれる中、台風や大雨、大雪、ひょうなど異常気象による被害や御嶽山の噴火などの災害が次々と発生している。東海・東南海・南海地震など国民の不安は増すばかりであり、こうした災害から国民生活の安全・安心を守る上でも、老朽化が進む橋梁(きょうりょう)やトンネル、下水道などの計画的な補修や日常的な維持管理と、それらを担う行政機関での専門的な技術力の継承が不可欠である。国民誰もが安心して働き、医療・介護・年金・福祉など憲法第二十五条に基づく生活を営むことができる社会を実現するためには、国民生活のあらゆる場面で支え活躍している国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実が必要である。また、地方創生政策の下、国の機関の地方移転などの議論が進められているが、これは、国の責任をないがしろにするものであり、本来の国の機関の役割を議論し拡充することが必要である。こうした国民生活の安全・安心を支える国の責務と役割をしっかり発揮するために必要な国の出先機関と独立行政法人の体制と機能を充実するよう求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、国民の暮らしや雇用、地域の安全・安心を支える国の責任を果たすこと。
二、東北地方の安全・安心を支えるために必要な国の出先機関と独立行政法人の体制・機能を拡充すること。

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