請願

 

第190回国会 請願の要旨

新件番号 2124 件名 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願
要旨  二〇一一年三月に発生した東日本大震災は未曽有の被害と原発事故をもたらし、避難者はいまだに住み慣れた地に戻る目途すら立っていない。二〇一五年九月には栃木・茨城・宮城三県での堤防決壊など広範囲に浸水被害をもたらしている豪雨や戦後最悪の被害をもたらした御嶽山を始め、口永良部島の新岳、箱根山、阿蘇山の噴火など、全国各地で災害に見舞われ、日本は災害列島と呼ばれるほど、どこで暮らしていても自然の脅威にさらされている。東海・東南海・南海地震や首都直下地震などの大規模地震も切迫しており、国民の安全・安心を守るための防災やインフラ整備は緊急な国民的課題となっている。こうした災害を未然に防止・軽減するためには、河川・道路・港湾などの社会資本の維持管理やその役割を担う地域建設業の役割が欠かせない。二〇一二年十二月に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故に見られるように、現在の社会資本は、戦後の高度経済成長期に多くが建設され、老朽化が著しく、放置すれば国民生活の安全・安心に影響を及ぼしかねない。耐用年数が経過した施設の更新には年間約二十兆円もの費用が必要とされ、財政難の中では、今後計画的な維持管理を施して新規構造物よりも既存施設を維持・保全していく方向に公共事業を転換させる必要がある。同時に、防災や施設の維持管理の最前線に立つ地域建設業をその担い手にふさわしく再生しなければならない。しかし、建設産業の置かれている低賃金や労働条件の劣悪さから、入職者は減少し、産業自体が消滅しかねない重大な危機に陥っている。企業の存続や技術の継承、建設労働者の確保困難などに対応するため、いわゆる建設産業の担い手三法が制定されたが、最前線で働く労働者の適正賃金確保や労働環境改善には至っていない。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、災害からの復興、公共事業を防災・生活関連・環境保全優先に転換すること。
 1 東日本大震災を始めとする災害からの復旧・復興を最優先で行うこと。
 2 公共事業を防災・生活関連・環境保全の事業優先に転換すること。
 3 公共工事の監督・検査、公共施設の維持・管理は国と自治体が責任を持って行うこと。
 4 公共事業発注官公庁及び独立行政法人等の体制を強化し、必要な職員を確保すること。
 5 災害復興及び公共事業の計画策定に当たっては、過程の情報公開、住民参加システムの確立、年次ごとの再検討を原則とすること。
二、公正な賃金・労働条件と中小業者の適正な収入・仕事を確保すること。
 1 建設産業の元下関係における片務性を是正し、下請及び資材業者の適正な利益が確保される仕組みをつくること。
 2 地域の安全・安心を支える中小建設業者の経営安定と建設労働者の雇用を確保できる持続的な施策を実行すること。
 3 公共工事及び公共業務等を適正な価格で受注できる入札・契約方式の仕組みをつくること。
 4 中小建設・建設関連業が優先的に受注できる施策を実施し、発注機関に官公需法を徹底させること。

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