請願

 

第190回国会 請願の要旨

新件番号 1535 件名 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願
要旨  二〇一四年一月に日本政府は障害者権利条約を批准した。障害のある人には障害のない人と同水準の権利があることをうたった条約である。この条約の批准に障害当事者や関係団体は大いに期待を寄せた。しかし、障害者総合支援法附則第三条に基づく見直しや二〇一五年四月に行われた報酬改定の動向を見ると、障害のある当事者や関係者の総意で取りまとめられた障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」が尊重されていないと言わざるを得ない。例えば、障害者総合支援法の見直しに当たっては、人として尊厳を持って生きるために必要不可欠な支援に対して利用者負担を強化することなどが話し合われている。また、労働施策と福祉施策が一体的に行われていないことによって、雇用の場では生活面(食事・排せつなど)での支援がなく、福祉的就労の場では労働者としての扱いがなされていない。また、働く場の一つである地域活動支援センターの中には、就労継続支援事業など他の働くことを支える事業所と比べて、極めて低額の運営費に苦しんでいるところが少なくない。さらに、六十五歳になると介護保険優先原則の下で、これまで受けられていた支援が受けられなくなる事態が見られる。所得保障が不十分な中で、親やきょうだいなどの支援がなければ地域で暮らすことが困難な状況が続いている。加えて、障害のある人を支援する事業所では、職員の給与が全産業の平均に遠く及ばないなどのために求人を出しても応募がないという事態に陥っている。
 ついては、障害を理由とする差別をなくし、障害のある人が他の者との平等を基礎として地域で安心して暮らせるようにするという障害者権利条約の趣旨を実現する観点から、次の事項について実現を図られたい。

一、障害者権利条約を受け入れた国にふさわしく、国の責任で以下の制度をつくること。
 1 障害に伴う必要な支援は、原則無償で利用できるようにすること。
 2 福祉施策と労働施策を一体的に展開すること。
 3 障害のある人が一人の市民として生活できるよう、年金などの所得保障を拡充すること。
 4 障害のある人が六十五歳になっても引き続き障害福祉サービスを利用できるようにすること。
二、利用者支援の充実と安定した運営のために、事業所やグループホームの日割制度を見直し、報酬を増額すること。
三、地域活動支援センターの制度を国の責任で安心して運営できるようにすること。
四、障害者関連予算を少なくとも先進国の平均レベルまで引き上げること。

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