請願

 

第190回国会 請願の要旨

新件番号 1179 件名 全国一律最低賃金制度の実現に関する請願
要旨  二〇一〇年六月、雇用戦略対話において、二〇二〇年までの目標としてできる限り早期に全国最低八百円を確保し全国平均千円を目指すことが政労使で合意された。しかし、二〇一五年の最低賃金の改定では、全国最低とされた八百円を超えたのは七都府県であり、全国加重平均は七百九十八円で目標とする千円とは二百円を超える差があり、時給六百円台が十六県も残っている。実際、多くの非正規雇用労働者が人間らしい生活ができない低賃金に置かれているだけでなく、地域間格差も年々拡大し時間額で二百十四円にまで広がり、低賃金にランク付けされた地域の疲弊を招いている。地域からの労働者の流出に歯止めをかけ公正取引ルールを確立するためには、金額の抜本的な引上げと全国一律最低賃金制度の創設が必要という声が広がっており、現行法での地域別最低賃金制度の制度的限界が指摘されている。最低賃金法第九条には、最低賃金の原則として労働者の生計費や賃金に加えて、海外ではほとんど例のない通常の事業の支払能力が併記されている。そのため、都道府県ごとの一就業者当たり年間販売額や年間事業収入額などの企業活動の大小も判断要素とされ、労働者の生計費を無視したような低額の最低賃金と地域間の賃金格差が固定・拡大されている。中小零細企業、非正規雇用労働者の賃金を底上げして労働者の生活を守り地域経済を活性化させるには、中小企業支援の拡充と全国一律最低賃金制度を確立するための最低賃金法の改正が必要である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、労働者の生計費原則に基づいた「全国一律最低賃金制度」を実現すること。
二、最低賃金法の「最低賃金の原則」から「支払能力」に関する規定は削除すること。また、最低賃金は、時給額表示だけでなく日額・月額も表示すること。
三、二〇一〇年六月の雇用戦略対話に基づく政労使合意を、二〇二〇年までに確実に実行し、時間額千円以上を早急に実現すること。

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