新件番号 | 918 | 件名 | 憲法二十五条に基づく権利保障としての社会福祉事業を守り拡充することに関する請願 |
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要旨 | 憲法第二十五条は、健康で文化的な生活を営む国民の権利を国の責任で保障するとしている。権利保障の具体的な仕組みが社会福祉制度であり、その制度に基づいた支援を行ってきたのが社会福祉事業である。そのため、社会福祉事業の公共性は非常に高いと言える。ところが、政府は、社会保障制度改革推進法とプログラム法によって国民に自助・自己責任を押し付け、社会保障・社会福祉の解体を進めている。二〇一五年四月には、介護報酬を引き下げ、子ども・子育て支援新制度によって保育分野にも直接契約制度を導入した。また、社会福祉法改正案では、現在の社会福祉制度の隙間にある貧困対策などの地域公益活動を担うことを社会福祉法人の努力義務としている。本来、公的責任の下で制度化するべき事業に対する国の責任を放棄し、社会福祉法人に転嫁するものである。こうした公的責任の放棄は、今でも不十分な高齢者・障害者・子供たちへの支援の質と量をより低下させる。さらに、福祉・介護・保育の人材確保の必要性を認めながら、社会福祉施設等退職手当共済制度への公費助成の対象から介護分野に続いて障害分野、保育分野を外そうとしている。厚生労働省の賃金構造基本統計調査で明らかとなった全産業平均より月額九万円も低い賃金実態や地方労働局の調査で示された介護・保育職場での高い法令違反率が深刻な福祉人材不足の大きな要因となっている。今、国民の福祉要求に応えて、健康で文化的な生活を営む権利を保障するためには、(一)高齢者・障害者・子供たちの基本的人権の担保(二)福祉労働者の劣悪な賃金・労働環境の改善による福祉人材の確保と定着(三)非営利原則に基づく事業経営の徹底・強化(四)これらを実現するための公的責任の拡充、取り分け社会福祉事業に対する公費(報酬や委託費・給付費)の単価の在り方と体系の抜本的見直しこそが喫緊の課題である。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、社会福祉事業に対する公的責任を放棄せず、より拡充させること。 1 地域公益活動を社会福祉法人に押し付けず、国の責任で制度化して実施すること。 2 「地域公益活動・事業」の実施によって、既に行っている高齢者・障害者・子供への支援の質が下がり、量が減ることのないようにすること。 二、国の責任で、福祉職場の人材を確保・定着させること。 1 社会福祉事業が継続的・安定的に運営でき、福祉労働者の処遇改善が図れるように、十分な財源を確保すること。 2 社会福祉施設職員等退職手当共済制度への公費助成の対象を縮小せず、全ての分野に拡大すること。 |