請願

 

第190回国会 請願の要旨

新件番号 271 件名 冤罪をなくすための刑事司法制度の改革に関する請願
要旨  無実の人が罪に陥れられる冤罪(えんざい)事件ほど重大な人権侵害はない。一九八〇年代には四人の死刑囚が再審無罪となった。近年も、足利事件、布川事件、東電OL殺人事件など相次ぐ冤罪事件が社会問題となった。二〇一四年三月には、袴田事件で再審開始決定が出され、警察による証拠の捏造(ねつぞう)が明らかになり、袴田巖さんは四十八年ぶりに釈放を勝ち取った。また、痴漢冤罪という身近な冤罪事件も後を絶たない。多くの冤罪事件に共通していることは、(一)警察の留置場に長期に身柄を拘束された上で、取調べ室という密室で自白を強要され、そこで作成されたうその自白調書が有罪の証拠とされていること(二)検察によって無実の証拠が隠されて法廷に出されないことである。政府は冤罪をなくすための制度改革を検討するために法務省の法制審議会に特別部会を設け、その結果が二〇一四年九月に法務大臣に答申された。しかし、答申は、警察や検察の抵抗のため、取調べの可視化(録音・録画)も対象が刑事裁判の二%にとどまり、検察手持ち証拠の開示も一部の事件でリストが開示されるにとどまるなど、全く不十分な内容となっている。その上、他人の犯罪を密告することで自らの刑を減免する司法取引制度の導入が盛り込まれた。これまでも、うその密告で無実の人が犯人とされた冤罪事件がたくさん発生している。司法取引制度は、新たな冤罪の温床になる。
 ついては、冤罪事件をなくすため、次の事項について実現を図られたい。

一、警察・検察における取調べに当たって、全事件において全過程の録音・録画(全面可視化)を行うよう法律を改正すること。
二、検察の持っている証拠の開示は、一部の事件での証拠リスト開示にとどめず、全事件で全ての証拠物を弁護人に開示するよう法律を改正すること(再審も含め)。
三、新たな冤罪を生む「司法取引」の導入を行わないこと。

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