新件番号 | 164 | 件名 | アスベスト被害根絶に関する請願 |
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要旨 | じん肺は、最古にして今なお最大の職業病である。一九六〇年にじん肺法が制定されてから五十五年が経過したが、いまだに三千人近いじん肺有所見者が認定されており、毎年新たに三百人にも上る人がじん肺の最重症患者として認定されている。石炭じん肺やトンネルじん肺など国の加害責任は、判決によって明確になっている。ILO(国際労働機関)・WHO(世界保健機関)は、遅くとも二〇三〇年までの世界中からのじん肺根絶の実現を提唱している。日本も、一刻も早くじん肺法の改正を含む抜本的な制度改革に取り組むことが強く求められている。アスベストは、じん肺の原因となるだけでなく、強い発がん性を有することが古くから明らかとなっていたが、国が十分な対策を取らなかったため、多数の被害が発生している。アスベストについての国の責任も大阪泉南アスベスト訴訟最高裁判決や建設アスベスト訴訟で明確になっている。労働安全衛生法施行令改正により二〇〇六年にアスベストの使用等が原則禁止となったが、今後もアスベストを使用した建物の改修、解体工事等による大量の被害発生が危惧される。二〇〇六年三月に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」は、二〇一〇年七月に救済対象となる指定疾病が拡大されたが、中皮腫と肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚の四つに限定され、救済給付金も労働者災害補償保険法や公害健康被害補償法に比して低額に抑える等不十分な内容のままである。じん肺やアスベスト被害者を早急に救済するための基金制度の創設、取り分け被害者が多発しているトンネルじん肺、建設アスベスト被害の基金の創設は急務である。 ついては、次の事項について実現を図られたい。 一、「石綿による健康被害の救済に関する法律」を抜本的に改正して「石綿対策基本法」を制定し、公害健康被害補償法による補償と同等にするなど救済内容を充実させ、予防対策も十分なものとすること。 |