請願

 

第190回国会 請願の内閣処理経過

件名 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願
新件番号 1708 所管省庁 厚生労働省 内閣処理経過受領年月日 H28.11.14
処理要領 一 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号。以下「難病法」という。)第四条第一項に基づく難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成二十七年厚生労働省告示第三百七十五号。以下「難病基本方針」という。)を踏まえ、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び難病の患者の療養生活の質の維持向上などを図ってまいりたい。
  難病に関する研究については、平成二十八年度予算において、前年度とほぼ同額の百一億円を計上し、引き続き、厚生労働省研究費補助金事業難治性疾患政策研究事業及び難治性疾患実用化研究事業により、診断基準及び治療法の確立を推進している。
  難病法第五条に基づく指定難病の対象となる疾病については、これまでに三百六疾病を定めており、現在も、厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会において、対象となる疾病について検討しているところである。また、指定難病の周知については、ポスター及びリーフレットの配布、ホームページへの掲載、政府広報等を行っており、今後もこれらを活用することにより、広く国民に情報提供してまいりたい。
二 難病法の成立により、長期にわたり療養を必要とする疾病に対する医療費助成制度が確立し、平成二十七年一月から施行されている。
  また、高額療養費制度については、負担能力に応じた負担を求める観点より、平成二十七年一月から所得区分を細分化し、所得が相対的に低い者の自己負担限度額を引き下げること等の措置を講じたところである。
三 慢性的な疾病を抱える児童及びその家族の負担軽減並びに長期療養をしている児童の自立を図るため、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を平成二十七年一月から開始し、また、成人後の医療との連携を強化するため、小児から成人への移行期医療を支援するためのモデル事業を平成二十七年度から実施している。
  さらに、平成二十七年十月、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十一条の五に基づく小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針(平成二十七年厚生労働省告示第四百三十一号)を策定しており、引き続き、疾病児童等の健全な育成に係る施策の一層の推進に向けて必要な施策を実施してまいりたい。
  難病及び慢性疾患等の障害のある幼児、児童及び生徒に対しては、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の趣旨を踏まえ、特別支援学校及び特別支援学級等において一人一人の障害の状態及び教育的ニーズ等に応じた教育を行う等、特別支援教育の充実に向けた取組を進めており、例えば、平成二十八年度においては、病院等に入院又は通院して治療を受けている児童生徒に対し、平等な機会を確保するため、関係機関が連携して支援する体制の構築方法に関する調査研究を行う、入院児童生徒等への教育保障体制整備事業等を実施している。「児童福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成二十六年五月二十日参議院厚生労働委員会)の趣旨も踏まえつつ、その一層の充実を図ってまいりたい。
四 平成二十七年九月、医療提供体制の確保を含む難病基本方針を策定したところであり、引き続きその具体的な内容について検討を行うこととしている。
  医師の確保については、平成二十年度以降、医学部入学定員を増員してきており、平成二十八年度の医学部入学定員を過去最大の九千二百六十二名としているほか、医師が不足している地域の病院に対する支援等を行ってきたところである。
  看護師等の確保については、これまでも、看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)に基づき、看護師等の養成、資質の向上、定着の促進及び再就業の支援等の総合的な対策を推進してきており、就業者数は毎年着実に増加している。
  さらに、医師及び看護職員等の医療従事者の需給の見通し、その確保策、地域偏在対策等について検討するため、平成二十七年十二月から医療従事者の需給に関する検討会を開催している。本検討会での検討状況も踏まえながら、今後の医師及び看護職員等の医療従事者の確保対策について、さらに検討してまいりたい。
  また、消費税増収分を活用した地域医療介護総合確保基金(医療分)については、平成二十八年度予算においては、公費九百四億円を確保している。本基金は、医療従事者等の確保及び養成に係る事業等について、各都道府県において地域の医療関係者と十分に協議を行った上で、地域の実情に応じて活用していただくこととしている。
五 政府としては、各都道府県に設置された難病相談支援センターの活動を支援するため、同センタ ーに勤務する職員等を対象とした特定疾患医療従事者研修事業等の全国的な実施等に取り組んでいるところである。
  また、難病の患者の療養生活の質の維持向上を図るため、難病患者等に対する必要な情報提供及び地域交流会等の活動に対する支援を行う難病相談支援センター事業を含む療養生活環境整備事業を難病法に位置付けたところである。今後も、研修事業を行うとともに、各難病相談支援センターにおける相談事例等の情報を共有するためのネットワークを活用し、難病相談支援センターとの連携強化及び相互支援に取り組んでまいりたい。

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