請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 3070 件名 教育予算増額、教育費無償化、父母負担軽減、教育条件改善に関する請願
要旨  これまで小学校一年生で義務標準法改正による三十五人以下学級、小学校二年生で加配措置による三十五人以下学級が全国で実施され、さらに、ほとんどの都道府県で他の学年にも独自の少人数学級が実施されている。しかし、二〇一三年度以降は三十五人以下学級の前進が見送られている。国民の願いに沿って直ちに三十五人以下学級を実現し、さらに、国の責任で少人数学級を進め計画的に教職員を増やすことが必要である。二〇一二年九月、日本政府は国際人権規約の留保を撤回し、高校・大学の無償教育を漸進的に導入することを国際的に宣言した。高校無償化に所得制限が導入されたが、国際人権規約にある「権利としての教育」を保障するために、その維持・拡充が求められている。私学では高校無償化予算を土台に各都道府県独自の助成が上積みされ授業料減免が行われているため、地方財政による格差をなくすためにも国による高校無償化の拡充こそ必要である。また、国際人権規約にある奨学金制度設立の趣旨をいかし、高校生・大学生への給付制奨学金をつくることも重要な課題である。東日本大震災・福島原発事故については、いまだに住民の暮らしと学校の復旧が十分に進められているとは言えない。被災地の声を真摯に受け止め、緊急かつ計画的に、子供たちの命と安全を最優先した学校・地域をつくることが求められている。厳しい地方財政の中、多くの自治体は、少人数学級前進や教育費補助制度などに独自に取り組んでいる。しかし、教育の機会均等を保障するため、国が責任を持って教育条件整備を進めることは極めて重要なことである。 
 ついては、子供たちの笑顔が輝き、憲法と子どもの権利条約がいきる学校をつくるため、次の事項について実現を図られたい。

一、行き届いた教育の実現のため国の教育予算を大幅に増やし、以下の取組を進めること。
 1 国の責任で小・中学校、高校の三十人以下学級の実現と、そのために必要な教職員定数を改善すること。また、幼稚園や障害児学級・学校の学級編制標準の引下げを進めること。
 2 お金の心配なく子供たちが安心して学べるよう、教育費の無償化を進め、貧困と格差の広がる中で学校教育にかかる父母負担を軽減すること。
  (一)教育の機会均等を保障するため、「公立高校授業料不徴収及び高等学校等就学支援金制度(高校無償化)」を拡充すること。
  (二)私学助成の増額による授業料減免などを広げ、私学の実質無償化を進めること。
  (三)小・中学校、高校の教育活動に必要な教材費や給食費など、学校納付金を無償にすること。
  (四)日本政府が批准している国際人権規約が求める、小・中学校から高校・大学までの教育の無償化を進めること。
  (五)高校・大学生に対する返済不要の「給付制奨学金」をつくること。
 3 全国どこでも豊かな環境の下で学べるよう、教育条件や施設の改善を進めること。
  (一)子供たちと向き合う時間を確保するため、公立・私立共に正規・専任の教職員を増やすこと。
  (二)障害のある全ての子供たちの教育の充実のため、教職員を増やし、教育条件を整備すること。特に、障害児学校の「設置基準」をつくり、過大・過密を解消すること。
  (三)学校の耐震化を早急に進めるとともに、地域における防災対策や避難所の機能整備を進めること。
二、東日本大震災・福島原発事故の被害を受けた子供を守り、学校と地域の復旧・復興を進めること。

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