請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 3056 件名 刑事訴訟法・盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)等の改悪案を廃案にすることに関する請願
要旨  現在、「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」が国会で審議されている。改正案について可視化法案だからよいのではないかとの意見があるが、その内容には重大な問題がある。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、刑事訴訟法・盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)等の改悪案を廃案にすること。

   理由
 (一)本法案の議論は、足利事件や布川事件、郵便不正事件・村木事件などの冤罪(えんざい)事件を受けて、国家による人権侵害である冤罪をなくすために始まったものである。ところが、衆議院本会議での上川陽子法務大臣による法案の趣旨説明には冤罪への深い反省も冤罪で人生を奪われた犠牲者への謝罪の言葉もなく、冤罪を生んでしまった原因さえ明らかにしていない。冤罪事件をなくすためには、代用監獄制度や人質司法の廃止、全事件での例外のない取調べの可視化(録音・録画)、全事件(再審含む)での検察の手持ち全証拠の開示など、憲法の理念に基づく改革が必要である。しかし、法案にはそのような改革はなく、逆に捜査機関の裁量で可視化しなくてもよいとの例外規定が盛り込まれている。これでは自白しそうもないと捜査官が判断すれば可視化しないことになりかねない。また、無実の人を巻き込む司法取引の導入など新たに冤罪を生み出す内容になっている。国民の負託を受けた国会議員が政府の姿勢を正し、冤罪と真摯に向き合い、冤罪犠牲者の声を聴き、再び冤罪を生まないために徹底した審議を行うべきである。(二)刑事訴訟法の改正と一括で盗聴法の改悪を狙い、冤罪の議論を利用して警察や検察が自らの権限を強化しようとしている。盗聴法には対象犯罪を暴力団のような組織犯罪集団の行う犯罪に絞ることや警察の不正を監視するために盗聴の際には通信事業者の立会いを置くなど歯止めが設けられているが、今回の改悪案はそのいずれの歯止めも外し警察の好きなときに好きなだけ盗聴できるようにするものである。警察は、緒方宅電話盗聴事件で裁判所が認めたにもかかわらず、いまだに盗聴していないと国会で答弁している。このような警察に更なる盗聴権限を与えることは許されない。盗聴捜査が拡大され秘密保護法や今後新設されようとしている共謀罪と結び付けば、日本は国民監視社会になってしまう。

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