請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 978 件名 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願
要旨  二〇一四年一月、日本政府は障害者権利条約を批准した。世界で百四十一番目と決して早くはなかったが、障害者差別解消法制定など国内の法制度を整備した上での批准に障害当事者や関係団体も大きな期待を寄せている。なぜなら、権利条約が法制度の一層の拡充、そして障害のある人の生活をより豊かにする道しるべとなるからである。取り分け、第十九条にうたわれている「全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利」を具体化するためには、解消・解決すべき課題が幾つか挙げられる。障害のある人の所得保障の根幹である障害基礎年金は、創設以来、拡充を求める声がありながら、逆に引き下げられている。その結果、親やきょうだいなどの支援なしに地域で暮らすことができないのが実態である。また、働く場の一つである地域活動支援センターは地域生活支援事業であるために市町村格差が著しく、また、就労継続支援事業など自立支援給付事業と公費に大きな隔たりがある。さらに、批准元年にもかかわらず、精神科病棟を居住系施設に転換する方針が厚生労働省の検討会から出された。地域で他の同年齢の市民と同等の暮らしを保障するという権利条約の理念に反する動きに、多くの当事者・関係者が反対の声を上げている。権利条約で何度も繰り返される「他の者との平等」を実現するためには、改正された障害者基本法第三条にある「基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」ことを改めて制度・政策の基礎に置くことが必要である。その上で障害者総合支援法附則第三条で掲げている支給決定や意思決定支援の在り方、常時介護を必要とする人への支援の在り方など、具体的な課題の解決が求められる。
 ついては、障害のある人の豊かな地域生活が確保されるよう、次の措置を採られたい。

一、障害者総合支援法の見直しに当たっては、「骨格提言(障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言)」を尊重すること。特に以下の点について見直すこと。
 1 障害に伴う必要な支援は原則無償とし、これ以上の負担をさせないこと。
 2 一人の市民として地域で安心して暮らすために、所得を保障し、生活する場と支援体制を整備すること。
 3 精神障害のある人の社会的入院を解消して地域移行を進めるとともに、他の障害者施策との格差の是正を図ること。
 4 安定した利用者支援と事業所運営のために日割制度を見直し、報酬を増額すること。
二、介護保険優先原則を見直し、年齢によって新たな負担が生まれないようにすること。
三、地域活動支援センターを自立支援給付に位置付けること。
四、障害者関連予算を少なくとも先進国の平均レベルまで引き上げること。

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