請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 119 件名 教育予算の増額、教育費の父母負担軽減、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願
要旨  どの子にも行き届いた教育を保障してほしいという父母・国民の願いに応えて、全国の多くの自治体が独自に少人数学級を実施してきた。国もそうした地方の動きに後押しされ、不十分ながらも小学校一・二年生までの三十五人以下学級を実施してきた。しかし、安倍政権に替わった二〇一三年度以降は三十五人以下学級の前進を見送り、教職員定数についても生徒数減少による自然減を上回る定数減を初めて強行した。今、学校では、いじめ・体罰の問題や全国一斉学力テスト体制による競争主義教育によって、多くの子供たちが苦しんでいる。さらに、子供たちを守るべき教職員も長時間過密労働で追い詰められている。こうした状況を変えていくためには、少人数学級実現や教職員定数増が必要である。自治体任せでは財政力の違いによる自治体間格差が生じてしまう。教育の機会均等のためにも国が責任を持って少人数学級実現と教職員定数増を行うべきである。二〇一四年四月の入学生から高校無償化に所得制限が導入されたが、「あなたの学びを社会全体で支えます」という高校無償化の理念を根本から否定し、原則無償から原則有償へと制度を大きく後退させるものである。授業料を払う生徒と払わない生徒、奨学のための給付金を受給できる生徒と受給できない生徒が同じクラスの中で学ぶことになり、生徒を分断することになる。OECD諸国の大半は高校無償化を実現しており、高校授業料に所得制限を導入している国はない。また、公私間格差是正のために私立高校生に対する就学支援金を国が加算したにもかかわらず、約四分の三の自治体が授業料補助の自治体単独分を削減したため保護者負担の軽減につながっていないという異常な事態となっている。全国の障害児学校の在籍者数は増え続け、学校の増設が全く追い付かないために学校不足、教室不足、予算不足は深刻さを増している。他の校種には全てある学校設置基準を障害児学校にも策定する必要がある。日本の教育機関への公財政支出の対GDP比(二〇一〇年度)は三・六%で、OECD諸国の中では四年連続最下位となっている。段階的にOECD平均並みの五・四%まで引き上げていけば、小・中・高校の三十人以下学級の実現のみならず、就学前から大学まで教育の無償化を進めることが可能となる。
 ついては、子供たちの笑顔が輝き、憲法と子どもの権利条約がいきる学校をつくるため、次の事項について実現を図られたい。

一、国の教育予算をOECD諸国並みに増やし、行き届いた教育を実現すること。
 1 国の責任で小・中学校、高校の三十人以下学級を実現すること。また、幼稚園や障害児学級・学校の学級編制標準の引下げを進めること。
 2 全国どこでも豊かな環境の下で学べるよう、教育条件や施設の改善を進めること。
  (一)公立・私立共に、正規・専任の教職員を増やすこと。
  (二)障害児学校の「設置基準」をつくり、障害児学校の過大・過密問題を解消すること。
  (三)体育館等の施設を含めた学校耐震化率一〇〇%を早期に実現すること。
二、お金の心配なく学べるよう、学校教育にかかる保護者負担を軽減して教育の無償化を進めること。
 1 「高校無償化」を復活し、公立・私立共に学費の無償化を実現すること。
 2 私学助成国庫補助の増額と、就学支援金制度の更なる拡充により、保護者負担を軽減すること。
 3 必要とする全ての高校生・大学生に対する返済不要の「給付制奨学金」をつくること。
三、東日本大震災・福島原発事故の被害を受けた子供を守り、学校と地域の復旧・復興を進めること。

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