請願

 

第189回国会 請願の要旨

新件番号 61 件名 事業主報酬制度の早期実現、小規模企業における事業承継税制の創設に関する請願
要旨  (一)個人企業経営者の所得には勤労性所得が存在することは誰もが認めるところであるが、現在の我が国には個人企業経営者の勤労性所得を認める税制がない。一方、個人企業と経営実態を同じくする同族法人企業の経営者に対しては役員報酬の支払が認められている。資本金五百万円未満の法人企業の七四・二%は、役員報酬を支払うこと等によって法人税の納税額がゼロ(欠損法人)であると言われている(平成二十四年「会社標本調査」国税庁)。少子高齢化社会の到来と長期にわたる経済不況により小規模事業者の活力が大きく失われており、個人企業と同族法人企業との税負担格差は拡大している。税制は公平であるべきである。適正な記帳に基づいて申告を行っている青色申告者の勤労性所得を正当に評価できるように、給与所得控除の適用を認めた事業主報酬制度の導入を一刻も早く実現するよう強く求める。平成十八年度税制改正により、特殊支配同族会社(いわゆる一人オーナー会社)の役員報酬に対する給与所得控除相当額の損金不算入制度が創設されたが、同制度は平成二十二年度税制改正により廃止された。これにより、個人企業と同族法人企業の税負担格差が再び拡大した。(資料添付)(二)現在の均分相続において、例えば個人企業を営む夫婦子供二人の家庭を想定した場合、長男は永年父親と共に事業経営に携わり事業を続ける意思があり、長女は既に生計を別にして家庭を持っている環境で相続が発生すれば、一般的に母親には老後の生活資金、長女には現金又は預貯金を分与することになる。後継者である長男には遺産の四分の一が相続され、その大半は土地、建物などの固定資産が引き継がれることになり、事業を続けていくための流動資産の不足、つまり資金不足に追い込まれてしまう。時代に即した店舗改装や転業(転換)をしようにも困難であり、事業を継続することができずに廃業に追い込まれてしまう。子供が三人いれば後継者の相続分は六分の一である。また、現行の所得税法では専従者である長男には退職金の支払も認められていない。地域社会への貢献と日本経済の持続的成長を促すためにも、個人企業の継続と発展の観点から、事業用資産を非課税とするなど税負担の軽減を図る事業承継税制の確立を強く求める。
 ついては、次の措置を採られたい。

一、青色申告を行う個人事業者に、所得税法の本法において、給与所得控除の適用を認めた事業主報酬の支払を認めること。
二、個人事業者の事業承継円滑化のため、土地以外の事業用資産を非課税とするなど税負担の軽減を図ること。

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