請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 3014 件名 じん肺とアスベスト被害根絶に関する請願
要旨  じん肺は最古にして今なお最大の職業病である。いまだに二万人近くのじん肺有所見者がおり、毎年新たに五百人を超える最重症患者が認定されている。石炭じん肺やトンネルじん肺など国の加害責任は判決によって明確になっている。ILO(国際労働機関)・WHO(世界保健機関)は、二〇一五年には世界中からのじん肺根絶と各国政府によるじん肺根絶計画の策定を提唱している。日本も、一刻も早くじん肺法の改正を含む抜本的な制度改革に取り組むことが強く求められている。アスベストは、じん肺の原因だけでなく、強い発がん性を有することが明らかとなっていたが、国が十分な対策を取らなかったため、多数の被害が発生している。労働安全衛生法施行令改正により二〇〇六年に石綿使用等が原則禁止となったが、今後もアスベストを使用した建物の改修、解体工事等による大量の被害発生が危惧される。また、東日本大震災によって広範囲にわたり建物等損壊の被害が発生し、瓦れきや建物等の撤去、解体、運搬等の作業が長期間にわたって必要となり、これらの作業によるアスベスト粉じんについて、作業員やボランティア、付近住民に対する曝露(ばくろ)防止対策を十分に取る必要が強くなっている。二〇〇六年三月に施行された「石綿による健康被害の救済に関する法律」は、二〇一〇年七月に救済対象となる指定疾病が拡大されたが、中皮腫と肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚の四つに限定され、救済給付金も労災法や公健法に比して低額に抑える等不十分な内容のままである。じん肺やアスベスト被害者を早急に救済するための基金制度の創設、取り分け被害者が多発しているトンネルじん肺、建設アスベスト被害の基金の創設は急務である。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、じん肺法施行後五十年以上を経過した今なお、トンネル建設工事、造船、各種製造業、建設業を始め多くの粉じん職場でじん肺が発生し続けていることを踏まえて、じん肺根絶に向けたじん肺法や関連法令の改正を行うこと。
二、トンネル建設労働者の就労などを一元的に管理し、じん肺被災者の早期救済を図る「トンネルじん肺基金」を創設すること。
三、建設アスベスト被害者補償基金を早急に創設すること。
四、東日本大震災の被災地における瓦れきや建物等の撤去、解体、運搬等に携わる作業者に対し、アスベスト粉じんなどの有害物質の曝露を防止するために、防じんマスクの支給、安全教育の実施などの対策をすること。及び、作業者に対し、健康管理に資する「就労手帳」を発行すること。

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