請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 2549 件名 障害児学校の設置基準策定に関する請願
要旨  全国的に障害児学校の児童・生徒数の増加が進み、在籍者数はこの十年間で約三万六千人増えている(二〇一三年文部科学省調査)。学校建設が進まない中でマンモス化傾向が進み、子供たちは過密な状態の中で学ぶ権利を奪われるばかりか命と健康をも脅かされている。「体育を行うスペースが足りず、玄関や廊下で授業をしたり、なるべく体を動かさない体育を子供たちに強いている」「医療的なケアを必要とする障害の重い子供のそばを走り回る子供たちがいて危険だ」「トイレが足りず、間に合わない生徒がいる」などの状況が全国の学校から報告されている。また、普通教室が足りず、特別教室を転用したり一つの教室をカーテンで仕切って使ったりすることが全国的に常態化している。二〇一三年の文部科学省の調査でも四千二百七十一もの普通教室が不足していることが明らかにされており、実際はそれ以上の不足が考えられる。幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専門学校まで全てに学校を設置するのに必要な最低の基準としての設置基準があり、教室が足りない状況が生まれたら新たな学校建設や増設が検討される。しかし、障害児学校だけには設置基準がないため、教室が足りず劣悪な環境になっても子供と教職員に負担を強いるだけで学校の新増設は進まない。これは、全ての障害者のあらゆる人権を保障することを目的に日本政府も今年一月に批准を決定した障害者の権利条約に明らかに反している。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、学校教育法にのっとって、以下の項目を含む障害児学校の設置基準を早急に策定すること。
 1 おおむね十八学級以下で児童生徒数が百五十人以下の適正な規模の学校とすること。
 2 学部別に音楽室や調理室などの特別教室を備えること。
 3 障害種別に必要な訓練室や作業室などの特別教室を設けること。
 4 通学時間が一時間以内となるような基準にすること。
二、既存の障害児学校の環境について新たに策定する設置基準にのっとって見直し、学校の建設・増設を行うよう、各都道府県への補助を充実すること。

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