請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 2270 件名 筋痛性脳脊髄炎患者の支援に関する請願
要旨  筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、突然生活が著しく損なわれるほど強い疲労と共に、頭痛、微熱、筋肉痛、脱力感などの全身症状と思考力・集中力低下などの神経認知機能障害が長期にわたり持続し、社会生活が困難になる病気である。その主な病態は、中枢神経系の機能異常や調節障害であり、通常ウイルス感染後に発症するというのが欧米諸国における共通認識で、慢性疲労が重症化すると発症するわけではない。世界保健機関の国際疾病分類において神経系疾患と分類されており、国際的に認められた診断基準が存在し、疾病概念が確立している病気である。国内の患者は二十四~三十万人と推定されている。この病気は原因が解明されておらず、有効な治療法もない。専門医がほとんどいないために、診断すら受けられない人が日本中に数多くいる。さらに、慢性疲労症候群という病名ゆえに深刻さが理解されず、偏見が助長されている。この病気により就労困難となる患者は極めて多く、寝たきり若しくはそれに近い重症患者もかなり存在する。国際ME/CFS学会も、患者の約二五%は寝たきりに近いか、ほとんど家から出ることのできない重症患者であると発表している。患者の現状はこれほど深刻であるにもかかわらず、身体障害者手帳を取得できる人は極めてまれで、社会的支援は不十分であるのが現状である。二〇一一年に改正障害者基本法が公布され、「その他の心身の機能の障害」として障害者に慢性疾患に伴う機能障害が含まれることになったが、二〇一三年四月に施行された障害者総合支援法の対象とならなかったために、ME/CFS患者は制度の谷間で苦しみ、社会保障を受ける道も閉ざされ、経済的にも日常生活を送る上でも困窮している。重症患者の実態調査も開始され、ME/CFS患者の置かれた深刻な状況が明らかにされようとしている。日々苦しんでいる患者を救済し、実際に患者の生活の質の向上に結び付く研究が遂行され、重症な患者が必要な介護・就労支援などを受けられるよう、この病気の特質に最大限の配慮を求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、客観的診断基準の確立
 1 国際的に認められた診断基準を検証する研究を推進し、一日も早く日本における客観的な指標を含む診断基準を作成すること。
二、今後の障害者総合支援法の見直しにおける福祉サービスの充実 
 1 対象疾患の見直しに当たっては、医療費助成・治療研究の必要性とは別に、福祉サービスそのものの必要性を踏まえて議論すること。
 2 この病気の患者の置かれた深刻な状況を考慮し、客観的な指標を含む診断基準が確立された場合には、迅速に対象疾患の見直しを行い、日常生活に著しく支障を来し、介護や就労支援を必要とする患者が支援を受けられるようにすること。

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