請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 2254 件名 給付制奨学金の実現と教育無償化に関する請願
要旨  今、日本の若者は、学費の高騰、雇用破壊、奨学金ローン化という三重苦に苦しめられている。大学の授業料が高止まりする中、この十年で大学生の生活費は三割減少した。親の援助が乏しくなり、何らかの奨学金を利用する者が五割を超え、学生の命綱になっている。ところが、日本の公的奨学金は全て貸与であり、そのうち有利子が七六%を占め、貸与金額が高額化している。貸与奨学金は卒業後の安定した雇用が前提にあるが、その雇用が崩壊している。大学卒業後、正規職に就けた者はこの二十年間に八割から六割に減少した。青年や女性の過半数が非正規労働者となり、厚生労働省調査(毎月勤労統計)では労働者の平均年収が十五年間に約七十万円(一九九七年四百四十六万円→二〇一二年三百七十七万円)下がり、七年連続して年収二百万円以下の労働者が一千万人を超えている。経済的理由から奨学金を返せない若者や「奨学金の返還が不安」と進学を諦める生徒・学生が増えている。二〇一二年九月、政府は中等・高等教育無償化の漸進的導入を定めた国際人権規約の留保を撤回し、教育無償化を進める国になった。さらに安倍政権は、OECD水準の教育予算(八・五兆円増)目標を掲げた教育振興基本計画を閣議決定し、二〇一四年度予算案に無利子奨学金増額、真に困窮している奨学金返還者の救済(新規延滞金賦課率一〇%→五%に引下げ、経済困難者の猶予期限五年→十年に延長、猶予基準緩和、延滞者への猶予制度適用)等が盛り込まれた。一方、政府は、高校教育を原則無償から有償に後退させる高校無償化廃止法を強行採決・成立させた。これは、社会全体で子供の学びを支えるという国民との約束や国際公約に違反し、自ら掲げたOECD水準の予算目標にも矛盾するものである。直ちに廃止・撤回することを求める。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。

一、教育予算を拡充し全ての教育段階で無償化を進め、給付制奨学金を実現すること。
  公私とも高校は実質無償化し、大学等の学費を下げること。高校・大学等とも奨学金は返還不要の給付制を基本とすること。それが実現するまで貸与制奨学金は無利子にすること。
二、奨学金の返還困難者に対する救済制度を抜本的に拡充すること。
  返還困難者に対する返還猶予期間の上限を撤廃し、免除制度を拡大すること。個人信用情報機関への登録制度を中止し、延滞金を廃止すること。

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