請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 2058 件名 奨学金被害をなくし、真に学びと成長を支える奨学金制度を求めることに関する請願
要旨  大学の学費が高騰する一方で家計は苦しくなり、今や大学生(昼間部)の二人に一人が何らかの奨学金を利用し、約四割が日本学生支援機構(機構)の奨学金を借りている。学費の高騰で借入額も増大する一方で、非正規労働等の低賃金・不安定雇用の拡大、格差と貧困の広がりは、大学を卒業しても奨学金を返せない多くの人を生み出している。特に、機構の奨学金は七割が有利子となるなど利用者負担が増大し、債権回収会社、ブラックリスト、訴訟等までも利用した徹底した回収強化策により返済ができない人に対する無理な取立てが行われ、奨学金を返したくても返せない人が経済的にも精神的にも更に追い詰められている。機構の奨学金における返還猶予制度など救済制度は、要件が極めて厳しく様々な運用上の制限もあって使い物にならない。今や、機構の奨学金は、等しく教育を受ける権利(憲法第二十六条第一項)を支えるという本来の姿を失い、完全に教育ローン化してしまった。奨学金の返済に苦しむ人は、不十分な教育支援制度の下、自分の力ではどうしようもない理由で返済困難に陥り無理な返済を迫られている。これは構造的に生み出されている被害者にほかならない。
 ついては、我が国から奨学金被害をなくし、真に学びと成長を支える学費と奨学金制度を実現するため、次の事項について実現を図られたい。

一、利用者の負担の少ない返済制度を実現すること。機構の奨学金における返還期限猶予の期間制限を撤廃し、所得に応じて無理ない金額を一定期間返せば残額が免除される「所得連動型の返済制度」をつくること。
二、利息と延滞金を廃止すること。廃止までの間は、返済金は元金・利息・延滞金の順に充当すること。
三、貸与型奨学金の個人保証制度をやめること。
四、高校と、大学等の高等教育につき、速やかに国の給付型奨学金をつくり拡充すること。
五、高騰した高等教育の学費を引き下げるための政策を実行すること。

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