請願

 

第186回国会 請願の要旨

新件番号 1930 件名 千葉県の最低賃金七百七十七円を大幅に引き上げ全国一律時間額千円以上の最低賃金実現に関する請願
要旨  今や雇用労働者の四割近くは非正規、四人に一人は年収二百万円以下のワーキング・プアである。低賃金層の増加の影響もあり、労働者の賃金は二〇〇〇年より実質一二%も下回っている(毎月勤労統計調査・全産業規模五人以上)。これでは消費が低迷するのも当然である。低賃金で不安定な雇用にしか就けず、結婚できない、子供を産み育てられない人も増え、社会の基盤が崩れ始めている。大震災の被災地の復興や生活再建も、生活できる賃金が保障された雇用が少ないため進んでいない。政府は、経済の好循環を実現するには賃金の引上げが必要と明言し、財界や労働組合に賃上げを要請している。ところが、厚生労働大臣が決定権限を持つ地域別最低賃金は、最も高い東京でも八百六十九円、鳥取、島根、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄では六百六十四円である。フルタイムで働いても月十~十三万円ではまともな暮らしはできない。しかも、時間額二百五円に及ぶ地域間の賃金格差は、賃金の低い地方からの労働力の流出を引き起こしている。地域間の賃金格差の是正と水準の大幅な引上げが必要である。二〇一〇年には「できる限り早期に全国最低八百円を確保し、景気状況に配慮しつつ、二〇二〇年までに全国平均千円を目指す」という政労使の雇用戦略対話合意が成立している。最低賃金千円は中小企業には支払困難との意見もあるが、他の先進諸国の最低賃金は購買力平価換算で月額約二十万円、時間額千円以上あり、高い最低賃金で消費購買力を確保し、地域経済と中小企業を支える経済を成り立たせている。デフレ不況から脱却し経済再生を実現するには、中小企業への経営支援や助成金、下請単価改善の政策を図りつつ、最低賃金を引き上げることが必要である。生活できる金額の最低賃金を軸として、生活保護基準、年金、業者・農民の自家労賃、下請単価、家内工賃、税金の課税最低限等を整備していけば、誰もが安心して暮らせる社会をつくることができる。
 ついては、二〇一四年の最低賃金改定に当たり、次の事項について実現を図られたい。

一、最低賃金の地域間格差をなくし全国一律の制度とするため、最低賃金法の改正を行うこと。
二、千葉県の最低賃金七百七十七円を、速やかに時間額千円以上へと引き上げること。

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